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発売年:1988年
発売元:エニックス
ジャンル:コマンド選択式オカルトRPG
発売機種:PC-88、PC-98、MSX2、FM-77AV
※画像は個別に指定が無い限りPC88版のものです
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blog_kanrinin
1980年代中盤以降、技術の向上によりゲームでも綺麗なグラフィックやボリュームある物語が作られ始めたんじゃ。それが最も現れていたのは、きっとAVGの世界だったじゃろうな。そしてこの時期、そのAVGはある方向を向いていたように思うんじゃ。

それは "映画のようなゲーム" 、じゃな。

つまり、それまでのAVGの場面場面に隠された謎をコマンド入力で解いていく言葉探しのゲームではなく、コマンド選択で物語を進めていって、最終的に物語の謎が解かれるのを映画を観るように追体験できるストーリー重視の作品。「スナッチャー」や「ジーザス」、「サイオブレード」などがその代表に挙げられるのう。

今回紹介する作品も、映画のようなゲームを目指した当時の代表作品といっていいじゃろうな。 では中に入るがよい、賢者の塔 FLOOR 64 じゃ!


「アンジェラス 悪魔の福音」とは

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「アンジェラス 悪魔の福音」は、1988年に「エニックス」から発売されたコマンド選択式のAVG。全身が緑色に変色し死に至るという奇病が発生。偶然その奇病が発症した現場に居合わせた新聞記者の「ブライアン・パール」はその原因の調査に乗り出すが、やがてそれは何かの「呪い」であるという情報にぶつかる。というオカルト色の強い内容の作品となっていた。

「オカルト」というAVG界ではそれ程主流ではなかったジャンルの作品でありながら、音楽にエニックス作品ではお馴染みとなった「すぎやまこういち」氏のを向かえ、さらにキャラクターデザインにはプロのアニメーターであり、当時「ダーティペア」なども手がけていた「土器手司」氏を採用したことなどでも話題となった。

また本作は一応作品として完結はするものの、物語としては完結しておらず謎を残すような終わり方であったため、ゲームクリアしたプレイヤーは当然続編があるものと信じ、またエニックスからも続編として「アンジェラス2 ホーリーナイト」の発表もされたのだが、結局開発中止となり結局現在に至るまで物語は完結していない。

ちょっと不便なゲームシステムの恩恵

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本作はコマンド選択式のAVGで、プレイヤーはまず何をするのかという動詞のコマンド(見る、聞く、見せる等)の一覧から実行したいものを選ぶ。するとその動詞を何に対して行うのか、あるいは何について行うのかという名詞が一覧に表示されるのでそれを選択することでコマンドが実行される。これを繰り返しつつゲームを進めていくタイプの作品である。

このシステムそのものは珍しく無いごく一般的なものだが、この頃のコマンド選択式AVGは大抵画面の右側にコマンドの一覧が表示されていて、そのコマンドに該当する数字をテンキーで選択していたのに対し、本作は画面の下にコマンドが横一列に並んで表示され、それを該当するファンクションキー(f1〜f5)で選ぶというタイプのものだった。

このシステムは、選択肢が5個以上ある場合SHIFTキーを押して表示切り替える必要があるため、全体のコマンドが把握しずらい、6個目の選択肢が発生している事に気がつかない等のデメリットはあるものの、コマンド表示に殆ど場所を取らないおかげで、ほぼ1画面サイズのグラフィックが楽しめるというメリットもあった。

特に本作は第一線の現役アニメーターである土器手司氏が手掛けたグラフィックなだけに、それを大きな画面で楽しめるのは何よりのメリットであったと思う。

「SF」AVG華やかなりし時代に

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この「アンジェラス 悪魔の福音」が発売された当時、AVGの題材としてメジャーだったものと言えばやはり「SF」ものであったと言えるだろう。コナミの「スナッチャー」や、T&Eソフトの「サイオブレード」、そしてエニックスの「ジーザス」と、この時期を代表する名作AVG御三家のジャンルはみんなSFだった。

それに続くジャンルとしては原作(漫画アニメ)もの、探偵・刑事ものなどがあったが、オカルト・ホラーものはそれ程ジャンルとして多くなかっただろう(スタジオWINGがそのジャンルを多く手掛けていたくらいか)。そんな時期に、エニックスという大手メーカーがオカルトものとして真正面から挑んできたのが本作である。

・ 別々の場所にいる人物が同時刻に発症する正体不明の奇病
・ 奇病の被害者全員が持っていた青く美しい石「セイント・ストーン」
・ 被害者が言い残した「呪い殺される」という言葉
・ 奇病の事が記された「悪魔の福音」と呼ばれる書物
・ そしてそこに記された邪神セヴァを封印した正神アーサーの伝承
・ 「悪魔の福音」そして「セイント・ストーン」に関わる人物に忍び寄る邪教徒の影
・ ブライアンの頭にフラッシュバックする謎の記憶

こうして本作の粗筋を羅列していくだけでも「オカルト映画」好きなら興味を持ってしまうのではないだろうか。ゲームを進めていくとこういった内容が徐々に徐々に明らかになっていき、やがてそれらが一つに結びついて真実が明かされる。そしてまるで本当のオカルト映画を見ているかのように、プレイヤーはこの物語に引き込まれていくのだ。

これって誤字?と思わせて実は!

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少々ネタバレになるが筆者がこの作品をプレイしていて「これは凄い!」と驚いたのは、物語の終盤に物語のキーとなるある人物から「邪神を復活させるには "4つのセイント・ストーン" が必要である」と語られるのだが、その時点で物語の中にセイント・ストーンは3つまでしか登場していない。当然あと1つはどこにあるのだろう?という疑問が沸いてくる。

そして同じその男に、今度はセントストーンとは関係ない現在行方不明になっている「あるもの」の所在について聞くと、男は「〇〇に "はめ込まれている" 」と回答するのだ。私は最初これを誤字だと思った。何故なら、普通そのものの所在に対する回答として「はめ込まれている」という回答はおかしいからだ。

ここで私は一見関係の無いこの二つの回答が"一つの事である" と理解した。まあそれについては作中でも匂わせる情報はいくつかあったのだが、ここでそれを確信したわけである。意識しなければ単なる誤字だと読み飛ばしてしまいそうなたった一つの言葉。これが謎を解く最後のピースだったのだ。これには思わず筆者も感嘆の声を上げてしまった。

物語のラストで、視聴者にとっても今まで疑問に感じていたことが最後のピースで明らかになる。これは良くできた推理ものやオカルトものの作品ではお約束の展開だが、それが見事に実現できているあたり本作は良くできた作品と言っても過言ではないだろう。

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本作は非常に "オカルト映画としての演出" を意識しているところが多い。

オープニングで事件の発端になる出来事を白黒の画像で表現し、その際にBGMに心臓の鼓動のようなSEを入れていたり、要所要所での主人公の記憶のフラッシュバックや、呪われまさに死に至る者と、その呪いを行使するものの画像が交互に表示されるなど、観ているものに謎や不安、恐怖を投げつける演出が随所に見られる。

実は本作を制作するにあたり、スタッフが演出の参考にした映画が存在する。それは1987年公開された「エンゼル・ハート」という「ミッキー・ローク」主演のオカルト映画で、内容としては、ミッキー・ローク演じる探偵ハリーは、謎の紳士から行方不明になった歌手ジョニーを探すよう依頼を受けるところから始まる。

それだけ聞くとただの探偵ものの映画のようなのだが、ハリーがジョニーの手がかりを追ううちに関係者が次々と怪死を遂げていき、怪しげな宗教儀式が現れるなど徐々にオカルトめいた内容に変わっていく。そして本作のラストには、オカルト映画史に残るといっても過言ではない展開が待ち受けており、一部の演出は過激すぎるために原作小説について廃刊運動が起きたというほどの作品である。

ミッキー・ローク
TCエンタテインメント
2016-04-18


この映画でも前述したような観るものに謎、不安、恐怖を投げつける演出が随所で見られ、なるほど確かに参考にしたのだろうなと思える点が多い。特にエンディングの演出は、強く影響を受けたところではないだろうか?もし「アンジェラス 悪魔の福音」をプレイしたことがあって、「エンゼル・ハート」を観たことが無い人がいたら、是非視聴をお勧めする。

ちなみにゲーム中にも、主演のミッキー・ロークの名前が話題に挙がるシーンがいくつか存在するほか、タイトルにどちらも「天使」を意味する言葉が使われていたり、ゲームの隠しコマンドが「HEART」だったりするので、意識したというのは間違いないだろう。

欠点を言わせて貰うなら

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本作は間違いなく良作と言っていいAVGなのだが、1つだけ「欠点」がある。それは「口パク」の演出だ。本作では様々な場所でグラフィックにアニメーションの演出(といっても画面の一部が動く程度)が使われているのだが、その中に登場人物が台詞を喋るときに口パクをするというものがある。

口パク自体は他のAVGでも見かける珍しくないものなのだが、本作での口パクの演出はその人物が喋った台詞を実際に読んでいるくらいの長さだけずっと続き、さらにその間は一切の入力を受け付けなくなるので、プレイヤーはもうとっくに台詞を読み終えていても、口パクが終わるのをただ待つしかないのである。

これは映画的なリアルな演出を狙ったものなのだと思うのだが、同じコマンドを無駄でも何度も実行し、同じ台詞を何度も聞かされるのが当たり前のAVGとしてはゲーム的に非常に辛い仕様で、明らかに長台詞を聞かされそうなコマンドは実行も躊躇してしまうほどストレスになる。

しかもこの口パク演出をオフにする機能は無く、恐らく開発陣がデバッグ用に用意したのであろう、口パクが早くなる隠しコマンドが存在するのだが、できればそれをデフォルト機能で用意して欲しかった。本作に限らずだが、ゲームシステムにリアルを持ち込みすぎると、ゲーム性は犠牲になりやすいものである。

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blog_kanrinin
どうじゃったかのう?

正直な話をすれば、わしは当時オカルトものにはそれほど興味がなくての「やっぱゲームはファンタジーかSF(あと原作もの)だろ!」って考えじゃったからな、それこそスナッチャーとかの方に目が行っておってこの作品が話題に上がっていたのは知っていたんじゃが、結局食指は動かなかったのう。

しかし今となって考えれば、遊んでおけば良かったとやや後悔しておる。その辺は、刑事・探偵ものに興味が向かずに「J.B.ハロルドシリーズ」などにちゃんと触れなかったという後悔と同じじゃな。なんというか、派手で解りやすいものにしか興味が向かない、まさに解りやすい子供だったんじゃよw

当然、本作の参考になったと言われる「エンゼル・ハート」も観たことが無く、今回本作を紹介するに当たってちゃんと観てみたんじゃ。そして同じように後悔した。
「なんでこんな凄い映画をスルーしていたのか!」と。

実際わしが様々な分野で「オカルト作品」というものに興味を持ち始めたのはもうちょっとあとの話で、映画の「オーメン」や「エクソシスト」の面白さに気がついたのもその頃じゃったな。もうちょっと早く開花していれば、もっと楽しい青春時代を送れたかも知れんのう(大袈裟w)。

もちろん人間じゃから好き嫌いというものはあるし、興味の在る無しも当然ある。まあ嫌いなものを無理にとは言わんが、興味がそれほど無いものでもたまに摂取してみるのも、視野が広がっていいのかもしれん。好きなものだけを摂取しているというのは、何についても健康的とは言えないんじゃのう。

というわけで、もしちょっとでも気になったら「エンゼル・ハート」を観てみてはどうじゃ?
きっと驚くと思うぞ?
あ、ちなみに「北条司」氏の漫画「エンジェル・ハート」は、この映画と全く関係な…

…あれ?


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