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発売年:1986年
開発元:アスキー
ジャンル:コマンド選択式AVG
発売機種:PC-88、FM-7など
※画像は全てPC-88版です

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「(晩)春だ一番!版権モノAVG祭り」の第二弾として紹介するのは「アリオン」です。ではまず原作についての簡単な説明からしておきましょう。

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(2006/12/22)
中原茂、高橋美紀 他

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「アリオン」は、「機動戦士ガンダム」や「巨神ゴーグ」のキャラクターデザインでお馴染みの「安彦良和」氏がアニメーター時代に執筆したギリシア神話をベースにした漫画作品で、ゼウスとポセイドンの手によって冥界の王に追いやられたハデスは、ポセイドンの息子である幼い「アリオン」をさらい、ゼウスを殺すための暗殺者として育てた。成長したアリオンはハデスの命令によりゼウス暗殺の為の旅に出るがゼウス軍に捕まり失敗、逆にゼウスに追われる身となってしまう…。という感じのお話です。

本作は1986年にアニメーション映画化され、原作者である安彦氏自らが監督として制作にも参加しました。ちなみに主人公アリオンの声を担当したのは「聖戦士ダンバイン(1983年)」にてショウ・ザマ役を演じた「中原茂」さんで、ヒロインである「レスフィーナ」を演じたのは同じく聖戦士ダンバインにてシーラ・ラパーナを演じた「高橋美紀」さんでしたね。

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ではここからはゲーム版「アリオン」の話。
「アリオン」は、映画公開と同年である1986年に「ウィザードリィシリーズ」や「カオスエンジェルズ」でお馴染みの「アスキー」より発売されたコマンド選択式アドベンチャーゲームで、内容としてはオリジナル要素は無く、基本的に映画版のストーリーを追って進んでいくという感じの作品になっていました。

本作の最大の特徴としては、ゲーム中に使用されているグラフィックがすべて映画版のセル画を取り込んだ画像となっていたことです。もちろん当時のパソコンゲームの容量やパソコンの表現能力の制限により、その画質はかなり荒いものとなってはいましたが、やはり安彦氏の手がけたアニメ版の迫力がよく伝わってくるうえに比較的グラフィックの枚数も多かったので、ある意味では満足できる内容になっていたと思います。

ある意味では。

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最初に言ったように本作は「コマンド選択式AVG」となっており、プレイヤーは画面に表示される画像とメッセージを読んで、画面右にあるコマンドの一覧からまず「みる」や「はなす」などの動詞を選びます。するとその動詞コマンドを行う対象の一覧が出て来ますので、そこから今度は名詞を選択します。まあ、この辺はよくあるコマンド選択式AVGと変わりませんね。

コマンドの一覧には「みる」や「はなす」などのベーシックなコマンドの一覧と、「たべる」や「つくる」などのちょっと特殊なコマンド(「だきつく」なんてのもあるw)の一覧と2種類あり、一覧の中にある「そのた」というコマンドで切り替えられます。

場面間の移動については「いどう」のコマンドを選択すると、現在の画面から行ける方向(東西南北)が表示されるので、そこから選ぶことでその方向に進むことができました。

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この辺までは特に他のAVGと変わらないシステムなのですが、実は本作には他とは違うちょっと変わったシステムがありました。それは、
「待つ」という行為です。

といっても、コマンド一覧に「まつ」というコマンドが存在しているわけではありません。
これはある特定の場所で特定のコマンドを実行した後に、
何もしないでいると、追加のメッセージが表示され、アイテムが見つかったり状況が変わったりするというものです。

この方法を使用しないと先に進めないという場面が何箇所かあるので、コマンド選択式だからといってかたっぱしから次々にコマンドを連打していったのではクリアできないようになっているんですね。

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また本作にはもう一つの特徴がありました。最初にストーリーで説明したように、主人公アリオンはゼウス軍に追われる身となっています。ゲーム中プレイヤーが訪れる場所には何箇所か、ゼウス軍の兵士(または将軍クラスの人物)が存在し、彼らと遭遇するとRPGのような戦闘がはじまるのです。
※戦闘は強制的に始まる場合もあれば、コマンドから「たたかう」を選ぶことで始まる場合もある

「RPGのような」とはいいましたが、システムとしては対象の敵とアリオンが交互に殴り合って当たったら相手の体力が減り、相手の体力を0にしたら勝ちというだけの原始的なもの。さらに本作には主人公にパラメータ的なものは体力以外存在しないため、攻撃の命中回避はほぼランダム(そのとき持っている武器による変化はあるかも)ですから勝敗は運しだい。

なので暗殺者として神に育てられた主人公でも、一般兵とのタイマンに負けることが普通にあります。そしてこのゲーム、一発即死のトラップなどは無い代わりに戦闘で負ければ即ゲームオーバーでした…。

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本作は単にAVGとして見ると、グラフィックの派手さに対してゲーム画面がシンプルすぎるとは思いますが、この時代の作品としては非難するようなところはない作品になってると思います。欲を言えばアニメには迫力ある戦闘シーンが多いんですから雑なRPGっぽい戦闘モードをなんとかしてほしかった気もしますが、まああくまで主軸であるAVGパートの「息抜き」として考えればそれほど問題でもないと思います。

ただこの作品に難があるとしたら、
原作かアニメを見ていないと話が全然見えない。
という部分かもしれません。ストーリーは基本アニメをなぞるように展開してはいきますが、かなり途中の話が歯抜けになっているので「え?なんでこうなった?」と疑問に思うこともしばしばあります。

ちょっとネタバレになりますが、アニメではアリオンを育てたハデスは物語中盤でアリオンに殺され、その呪いでアリオンの夢の中に亡霊として現れアリオンを苦しめます。しかしゲームではほとんどいきなり亡霊の姿で登場しアリオンに襲い掛かってくるため「え。なんで??」となってしまうんです。
※簡単な説明はいちおうされるんですけど、簡単すぎて…

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アニメのほうでは子供のときから暗殺者として育てられたアリオンが、ヒロインであるレスフィーナと出会いお互いに愛情を覚えるものの、レスフィーナを自分のものにしようとするアポロンに邪魔をされ、レスフィーナを奪い返すためにアポロンと戦う、というのが一つのテーマといえるんですが、そのレスフィーナはゲーム中での登場回数が3回程度、アポロンに至ってはラストで唐突に登場するのですから、ゲームしか知らない人にはこの三人の関係はまったく意味不明なものに見えてしまいます。

またアニメではアリオンの両親の事についても重要な要素として描かれているんですが、ゲーム上ではどーでもいいことのようにばっさりカットされて数行の説明で終わっています。
「あの人」の正体も不明のまま終わるしね。

しかし、まあこれはどうしたってしょうがないことなんですけどね。
現代ならともかく、この時代では2時間もののアニメ映画を内容を満遍なく網羅してゲーム化するなんて容量的にも無理なのですから。

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仮に自分がこのアニメ作品を、限られた画像枚数とテキスト量だけでゲームとして「形」にしろといわれたら匙を投げたくなるでしょうw
デジタルノベルとしてならまだ簡単でしょうけど、AVGとしてのゲーム性も持たせなきゃいけないとなると…これは難しいなあ。

そういう視点から考えるとこのゲーム作った人たちは、よくまとめたものだとちょっと感心してしまいます。前回紹介した「カムイの剣」もそうですが、長編アニメーション映画作品をゲーム化するというのは、我々が考えている以上に大変なことなのかもしれませんね。

さて、今回この記事を書くに当たって久々にアニメ版アリオンを見ましたが、本当に絵が丁寧に描かれていることに改めて驚きました。キャラクターの動きにも迫力や重さがあり、物語終盤での合戦の盛り上がりには興奮を覚えます。今でも通用する良作品ではないかと思いますね。
皆さんも、これを機会に観てみてはいかがでしょうか?



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