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発売年:1983年
開発元:エニックス
ジャンル:コマンド入力式AVG
発売機種:PC-68、PC-88、X1、FM-7、MSX、ファミコンなど

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「ポートピア連続殺人事件」は1983年にエニックスより発売されたAVGで、「ドラゴンクエスト」のゲームデザイナーとして有名な「堀井雄二」氏の作品であり、「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」「軽井沢誘拐案内」とあわせて「堀井雄二ミステリー三部作」の第一段としても知られている。

本作の名前を聞くと大抵の人はまずファミコン版を思い出すかもしれないが、ファミコン版はパソコン版より2年後の1985年に発売されたアレンジ移植版である。
ちなみにファミコン版は”ファミコンで最初のAVG”としても知られているが、パソコン版は現代を舞台にした初のAVGではないかとも言われている。

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【ストーリー】
サラ金の社長「山川耕造」が自宅のマンションで殺された。
第一発見者は耕造の秘書である「沢木文江」。社長が会社に来ないので、様子を見に自宅に行ったら死んでいたとのことだ。
耕造が死んでいた書斎には内側から鍵がかけられており、文江はマンションの管理人である「小宮六助」に頼んで書斎のドアを壊してもらったそうである。
部屋に鍵がかけられていた事から耕造は自殺だったのでは?という可能性が考えられたが、果たしてその真相は…?

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【システム】
本作はコマンド入力式となっていて、キーボードからプレイヤーが行いたい捜査を”名詞+動詞”という形式で入力(カタカナ)することでコマンドが実行される。
(例)机を調べる → ”ツクエ シラベロ”

一般的なAVGでは何かを調べる時には”シラベル”というワードを使用することが多いが、本作では”シラベロ”というワードを使用する。他にも”ミセル”ではなく”ミセロ”、”イク”ではなく”イケ”というように、コマンドが命令系になっているのだ。
これは本作において主人公は”ボス”という上司の役であり、捜査は部下である”ヤス”に指示するというロールプレイ(役割を演じる事)から来ている。

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本作は同時では斬新だった”現代を舞台にしたAVG”であり、それを象徴するコマンドが”デンワ”である。
捜査のなかでプレイヤーは何度か”電話番号”を入手する。それが何の電話番号なのか?事件に関係あるものなのか?それを調べるために必要なのが”デンワ”というコマンドなのだ。
コマンドを実行すると”何番にかけますか?”と聞かれるので、入手した電話番号を(ハイフン付きで)入力すると(話し中のときもあるが)電話番号が正しければ、相手が出て何かしらの情報を聞くことができる。

本作においてコマンドは基本的にキーボードから入力するのだが、サポート機能としてファンクションキー(F1~F10)それぞれに主要なコマンドが割り振られており、名詞(+スペース)を入力したあとにファンクションキーを押すだけでも実行が可能だった(でも割とよく使う”キケ”は無かったが)。

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電話と同じく現代捜査モノである事を象徴するものが”取り調べ室”の存在だろう。
捜査を進めていくと何人かの容疑者が登場するのだが、それらの人物は他のAVGと違い特定の場所に行けば会えるというわけではないので、捜査本部の取調室まで呼び出さないといけない(もちろん居場所がわからない人物は呼べないが)。

容疑者を取調室に呼び出すことで初めて詳しい情報を本人から聞き出すことができるのだが、容疑者たちは嘘をついている場合もあるし、頑なに口を割らない人物、操作に非協力な人物もいる。
それぞれの証言の裏付けを取ったり、時には”アメとムチ”を使用する事も必要になってくるあたり、まさに刑事ドラマを追体験しているような感じになる。これが非常に面白い本作の特徴といえるだろう。

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【ミナトで〇〇〇】
本作は様々な機種で発売されたが、それを利用した試みも行われていた。
捜査を進めていくと、各機種共通で”ミナトデ”から始まるメモを見つけるのだが、この後に続く内容が各機種により違うのである。しかもこの言葉は暗号となっていて、この暗号の解き方も各機種で違っていたのだ。

現在では”パソコンを持っている”と言っても精々WindowsかMacかというOSの違いくらいしかないが、当時は単に”パソコンを持っている”と言っても様々な機種の所有者が存在していた為、このように機種の違いで謎や回答が変わるとプレイヤー同士の情報共有(というか”解き方”の教え合い)が困難になるのだ。
※もちろん”主流”の機種を持っているユーザーは楽だったがw

こういった試みは様々なメーカーの機種が共存していた時代(1980年代)にはそれなりに見られたが、その後主流機種が定まってくると当然ながら次第に見られなくなっていった。

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【マルチエンディング?】
本作では真の事件解決以外にも、あるタイミングでボスがこれで事件解決と判断したらゲームを終えることもできた。
しかしそれで迎えたエンディングでは、同僚の刑事より捜査の”手落ち”を指摘されてしまう。
これは正しくはエンディングではなく”ゲームオーバー”であり、こうなってしまうと操作を最初からやり直すしかなくなってしまう(本作にはセーブ機能が無いため)。

普通にプレイしていれば、これが”引っ掛け”だという事はすぐ気がつくはずだ(タイミング的にも不自然な為)。
しかしここで”こんな引っ掛けに乗るかよ!”とだけ考えるのは甘いのである、この偽エンディングが存在する意味は決して”引っ掛け”などではなく、
あることをプレイヤーに気づかせる為の重要な要素なのだ。

本作はボリュームこそそれほど多くないのだが、こういった仕掛けや要素で刑事ドラマの展開をプレイヤーに味わせてくれるやり方は非常に上手いと感心させられてしまう。
そしてこれが後の「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」や「軽井沢誘拐案内」にもちゃんと引き継がれて(しかもパワーアップして)いるあたりは、さすが堀井雄二と言ったところではないだろうか。

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【犯人は〇〇】
最後に余談だが、本作のファミコン版が世間に知られるようになった事で生まれた言葉に”犯人は〇〇(一応伏せますw)”がある。
このワードは”ネタバレの代名詞”としても有名となったが、その言葉だけがあまりに有名になってしまったため、今日では原典が「ポートピア連続殺人事件」であるという事を知らない世代も増えている。

事実、私の同僚に10歳ほど年下のゲーム好き男子がいるのだが、先日彼が私に
「”犯人は〇〇”ってどういう意味なんですか?」
と聞いてきたのだ。どうもそれがネタバレを表す言葉なのは知っているようだが、その名刺の人物が誰なのかを全く知らないらしい。
計算してみるとその同僚は本作がファミコンで有名になった年にはまだ2、3歳なのだから、知らないのも当然かだろう。

この事実にも驚いたが、己の年齢を改めて実感し軽く凹んだ出来事であった。



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