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発売年:1991年 ※IBM PC版は1990年
開発元:アスキー ※IBM PC版はSIR-TECH
ジャンル:ダンジョン探索型ロールプレイングゲーム
発売機種:PC-98、FM TOWNS、スーパーファミコン
※画像はすべてPC-98版のものです

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前回の記事は、こちら

*ダンジョンマスター

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※画像はダンジョンマスターのもの
では紹介としては最後になりますが、本作を語る上で避けては通れない「ダンジョンマスターとの類似」について話していきましょう。「ダンジョンマスター」とは海外メーカーの「FTL Games」が1987年に開発した擬似3Dダンジョン探索型RPGなのですが、ゲーム中こちらが何も行動しなくても敵が近づいてきたり、例え敵と戦闘中でも別の敵が乱入してくるとか、スイッチで開けた扉が一定時間で閉まってしまうなど、リアルタイム性があるのが特徴のRPGであり、またそれらを臨機応変に随時対応しなければならないため、3DダンジョンRPGでありながらアクション要素も高かったという特殊な作品です。(日本のゲームで言うと「ブランディッシュ」を擬似3Dダンジョンにしたようなイメージ)

「ダンジョンマスター(以下:ダンマス)」は日本でもPC98やX68000、FM-TOWNS、スーパーファミコンに移植され知名度の高い人気作品となったわけですが、1991年に日本でこの「ウィザードリィ Bane of the Cosmic Forge(以下:BCF)」が発売されたとき、私を含めて多くの人がきっとこう思ったはずです。
これダンマスじゃね? と。
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どの辺が似てたのかというと、まずグラフィックですね。実際に並べてみるとそっくりという程ではないものの、石畳や壁の表現や色調、HPやスタミナのバー表示、右手と左手の装備状況の表現などかなり意識していると思えるものでした。次にアニメーションです。本作ではドアの開閉、戦闘中の敵、魔法や武器の射出などにアニメーション演出が追加されましたが、これらのテンポがものすごく似ていました。

システム面では、スタミナや重量制限が導入していること、本格的なスキル制の導入、肉弾戦時の「振る」「突く」などのコマンド選択、街に帰らせず「休憩」でのみ回復、後からのメンバー入れ変え不可、移動に左右平行移動の追加など本作から追加された仕様の多くがダンマスに存在していたものでした。しかしだからと言って、
BCFはダンマスのパクリだ!
などという気は全くありません。少なからず影響は受けたかもしれませんが、BCFとダンマスの類似点は、他のゲームにだって似たものがあったので、なにもダンマスの専売特許というわけでもありませんしね。

何か画期的な作品が世の中に登場して人気を博すと、それに影響を受けた似た作品が他社から登場するのはこの業界の常ですし、私はそういうのもアリだと思います。しかし個人的に許せないのは、影響を受けた作品を越えるものを創ろうという気概が感じられず、ただ人気作品のガワだけ似せた”劣化品”を作るメーカーですから。

というわけで、当時の私は「似ているな」とは思ったものの、それを理由に拒否感を持ったという事はありませんでした。

*まとめ

ではそろそろまとめに入りましょう。まず今回の記事のテーマだった本作への拒否感についてなのですが、振り返ってみると以下の3点に、私は強く拒否感を抱いていたようです。
①舞台がリルガミンでない
②魔法の名前が変わった
③グラフィックが日本向けでない


①と②については、今考えるとこちらの一方的な認識であり”そうでなければいけない”という決まりも無いので、これは私の考えが間違いだったといえるでしょうね。もちろんユーザーとして”こうあって欲しい”という気持ちはあって構わないと思いますが、俺が思うものと違うからコレは駄目だ認められない!と忌避するのでは、やはり世界が広がらないんです。

③について少々言い訳させていただくと、私はウィザードリィ #1をずっとX1版で遊んでいました。当時私はパソコンはファミコンなんかより凄いRPGを遊べるものだと考えていたのですが、ことウィザードリィに関してはファミコン版の羽田健太郎氏によるBGM、そして末弥純氏のモンスターデザインが正直羨ましかったんです。しかし「V」でPC版も遂に羽田健太郎氏によるBGM、そして末弥純氏のモンスターデザインが採用され「いしよっしゃぁぁ!」と歓喜しました。
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ところがBCFになってまた”コレ”です。 そりゃ嘆きたくもなる訳ですよw
先ほどBCFはダンマスにグラフィックの面でも似ているという話はしましたが、しかし見比べてみるとグラフィックもあらゆる点でダンマスに劣ってるんですよね。3年も後から発売された作品とは思えない…。まあ当時はこの拒否感を抱いてはいたものの、今改めて触れてみるとこれはこれで”迫力”と”味”があって良いんですが。

ではこの3点を主な理由として、私がこの作品を忌避してきたことは正しかったのか?
それは大間違いでした。
しっかり遊んで見ると解ります。本作は非常に面白いんです。

当時私は本作をプレイしたとき、戦闘がキツくて城の後半から先に進めなくなっていましたたが、これは先に説明した転職を利用する方法を知っていればかなり楽になります。各所の謎も、ノーヒントでキーアイテムを集めるのは非常に苦労するのですが、その為のスキルや魔法を覚えることでこれもかなりカバーできるんです(魔法は情報集めに役立つものもあるので)。

それらのスキルも含め、本作には多くのスキルや魔法の種類があるのですが、その中でも有用なものとなると限られてくるので、そこが解ってくると転職を効率的に繰り返しつつ、有用なスキルを多くのキャラに取得させていく、これによりまたゲーム進行は俄然楽になります。そしてこの転職のルート、それに適切な種族選びを考えるのが非常に楽しいんです。

同じ職業から同じ職業への転職は無理なので間に別の職業を挟む必要があるんですが、それは何が適切なのか?(次の職に転職しやすい能力値のものが良い)、途中の転職ルートを含めて能力値のロスが少ない種族は何か?(種族の基本能力値が転職条件に近いものが良い)。そういうプランを立てて、それを目指して好みのキャラに育成していくのが楽しい。

とはいっても何度も何度もレベル上げをするのは辛いようにも思えるんですが、最初の城であれば敵が繰り返し出るスポットを利用したり、城以降もHPやMPを何度でも回復できる泉がある所を拠点にしたり、中盤の死者の川あたりでは1戦で得られる経験値がグッと増えるので、レベル8、9くらいまでなら割りと楽に繰り返し上げられてしまうんですね。

しかしこれは諸刃の剣でもあり、何でもできる、どんな魔法でも使えるキャラばかりにしてしまうと、逆に簡単すぎてちょっとつまらなくなってしまうんです。なのであえてオールマイティは避けた個性的な育成を目指したり、あるいはちょっと上級者向けですがゲームスタート時に、冒険者の人数を少なくしてオールマイティキャラを育成してみるなんて試みも面白いと思います。

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あとまあちょっとしたことではあるんですが、本作はテキストの言い回しも独特で面白いんです。固定的が登場する際にも「○○が現れた!」という単純な説明ではなく、「足元に管のようなものが見える。どうも植物らしい。おっと!腹が減っているらしい!」とか「しかしそれは、地獄からの悪魔猫が現れるまでことだった!」というような、あまり他のRPGでは使われないような直接的でない言い回しが随所で見られます。こういう言葉のセンスは、考えてみれば過去シリーズでも随所にあったもので、なるほどここにちゃんとウィザードリィは残っているのだなと感じることができます。壁に”TREBOR SUX!”って書いてあったときには噴出してしまいましたw

しかし、当然ながら本作にはあまり良くない所も存在します。

まずは全体のテンポの悪さ、移動も戦闘もUIに関してもことごとく遅い。キーを押したのに反応してるんだかが解らなくて、もう一回押すと2回押してしまっていたり、しかも道中には足を踏み外すと一発死するような道もあるためこれは怖い。このテンポの悪さは先に比べたダンマスとも共通するのですが、あちらは常にリアルタイムの対応に迫られるため、テンポの遅さはむしろ助かるのに対し、こちらはリアルタイム性皆無ですからね、これはストレスになります。

またゲーム中一番困ったところは、回復魔法の貧弱さです。過去のシリーズでは、「DIOS」「DIAL」「DIALMA」の順に強い回復魔法を覚えていき、後半になると「MADI」という全回復の魔法を覚えました。しかし本作の回復魔法は「HEAL WOUNDS」のみで、PLを上げることで回復量を増やせるのですが、最大PLで使用しても全回復なんてしません。しかもMP消費量は大きいくせに回復量そのものが信用できないレベルでした。MP消費は高くてもいいから、全回復する魔法がほしかったですね。

魔法に関してもう一つ。本作は最初古城から始まり、メインフィールドを鉱山、ピラミッド、大河、森林などと変えていくのですが、別のフィールドに移動してからも何度か古城に戻ったり、前のフィールドに戻ったりする必要がどうしても出てくるんです。しかし本作には移動に関する魔法が無い(過去シリーズで言う「MALOR」のような)ためこれを全部徒歩で移動しないといけなくてかなり面倒臭い。ポイントを記憶して、そこまで移動できる魔法があったら本当に助かったのになあと思います。

あと細かいことを言わせて貰うと、用済みになったキーアイテムが処分できない(捨てられないし、売ることもできない)というのが地味に嫌でしたね。キーアイテムは大抵軽いので重さ的には苦労しないんですが、後半になるとキーアイテムも増えていくので荷物の枠数を圧迫していくんですよね…。スーファミ版だと処分できるらしいんですけど。

*最後に

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では最後になりますが、本作は過去のウィザードリィに固執している人は、その違いばかりが気になって素直に遊べないため評価が低かったということもあったでしょう。またそうでない人でも、最初から戦闘でなかなか勝てない、謎がよく解らないなどが原因で先に進めなくなり、途中で投げてしまったということもあるでしょう。しかし本作はそういった壁を越えて、”しくみ”、そして”魅力”が理解できれば非常に遊んでいて楽しい作品になります。

「最初さえ耐えれば面白いゲーム」なんて評価する人もいますしね。

前にも言っていますが、私も本作にもともと良い印象は最初持っておらず、それでもプレイはしましたがなかなか先に進めなくて最結局初の古城から外に出ることもなく投げてしまいました。しかし、転職に関する仕組みなどを把握してから再度遊んでみたところ、その印象はガラリと変わり、なんで当時この面白さに気がつけなかったのかと情けなく思いました。

ゲームに限ったことではありませんが、偏見を捨て相手と真摯に向き合うことで見えてくる”本当の姿”というものがあると思います。しかしゲームするのにソコまでする必要は無いだろ?やりたくないものは避ければ良いじゃん?とも思うのですが、以前紹介した「ウルティマIV」のときも思ったのですが、面倒臭い、解りづらいという感情から来る壁を越えてそのゲームの持っている「楽しさ」を見つけ出したときの感覚というのは、実に格別なものなのです。

もしあの当時、私と同じように偏見をもっていて本作を避けていたり、解らずに行き詰って投げてしまったりした人は、機会があれば”転職システム”を理解したうえで、是非本作に挑戦して欲しいと思います。きっとあの時とは違ったものが見えるのではないでしょうか?とはいえ、パソコン版を今からプレイするとなると環境が難しいんですけどね。

そういえば、つい最近「レトロフリーク」というレトロゲーム互換機が発売されましたね。これを使ってスーパーファミコン版をプレイしてみるというのが一番楽かもしれません。スーパーファミコン版はグラフィックも綺麗になっていますし、重量制限の謎仕様やレスポンスの悪さも修正されているようですから、パソコン版よりは遊びやすくなってるはずです。

では長くなってしまったうえに、纏まりのない記事になってしまいましたが。これにて。
(まあいつもの事かw)




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