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発売年:1987年
開発元:ポニーキャニオン
ジャンル:フィールド探索型ロールプレイングゲーム
発売機種:PC-88、FM-7、X1、PC-98、MSX2、X68000、FM TOWNS
※画像はすべてPC-98版のものです

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*ゲームの目的

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さて、前回の最後に”徳が低い”というキーワードが登場しました。ではこの徳が低いとか高いとかってどういうことなのでしょう?実はこれが本作の”ゲーム目的”、そして本作を非常に面倒臭いと感じた部分に関係するのです。前編記事最初のストーリー紹介の中で、ロードブリティッシュが徳の実践者として人々を導く存在となる人物を異世界から召喚した。と書きましたが、この紹介された人物というのが本作の主人公(つまりプレイヤー)です。

ということは、本作での目的というのは”徳の実践者となる事”ということになり、その為の手段のひとつ(っていうかほとんど)が8つの徳(誠実、慈悲、名誉、献身、正義、勇敢、崇高な心、謙譲)を聖者の域まで高めることになります。ところが、じゃあどうやったら8つの徳とやらが高まるんだ?どうやったら低くなるんだ?という具体的なことは、当初全くわからないのです。町の人々から漠然としたヒントは貰えるんですけどね。

このゲームが発売された当時、私は本作を友人の家で遊んだのですが、普通に遊んでいたら後ろで見ていた友人に「あ、それはやっちゃ駄目だw」「あーあ、それは取り返しが…」みたいなことを色々言われて、頭が「???」となりました。そう、本作では普通のRPGでは当たり前のようにやること(やらないだろうということ)でも、それが徳に大きな影響を与えるようになっていたんです。

ではそれぞれの徳について、どういう行動が影響するのか説明していきましょう。

*8つの徳(その1)

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「誠実」…これは要するに”嘘をつかない”ということなのですが、例えばある町のお店で目の見えない人が店番をしていて、そこで商品を買うと「解らないから買った分だけお金を置いていってくれ」と自分で支払う金額を決められるようになります。そうなるとちょっと金額をごまかしてお金を節約したいと思うじゃないですか?ところがそれは嘘をついたことになるのでNGとなります。買った物に対して正しい(あるいはそれ以上の)金額を支払うことで誠実さは高まっていきます。

「慈悲」…これは相手を慈しみ哀れむことですが、特定の町にいる物乞いに対して所持金を分け与える事によって高まります。また一部の悪に属さないモンスターに攻撃を”仕掛けた”場合には低下してしまうのですが、困ったことに見ただけではモンスターが悪に属しているのかそうでないのかが判断できないので非常に困ってしまいます(対処方法はありますが)。

「勇敢」…これは悪に立ち向かうということなので、さっきと逆で悪に属するモンスターを退治していけば高まっていきます。ところが普通のRPGなら当たり前にやる行動で一気に減少してしまいます。それは戦闘からの離脱つまり”逃げる”事です。従って本作では、絶対勝てないような強敵と遭遇した場合でも戦闘から逃げることはできないのです(ただしある条件を満たせば逃げても問題ない)。

「正義」…これは正しい行いということですが、普通のRPGで町の建物の中で宝箱を見つけた場合、そりゃ当然開けますよね?ところがこれは本作ではNG行為、徳が下がるだけでなく町の衛兵からボコボコに殴られます(まあ当たり前の事だよね)。また上の3つの徳とも関係していて、正しい金額の支払い、悪に属する(属さない)モンスターへの対応も影響します。

とりあえず4つの徳について説明しましたが、どうでしょう?本作ではNGな行為、普通のRPGでなら一度ならずともやったことがある行為ではありませんか?

*8つの徳(その2)

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「献身」…これは他人のために尽くすことなのですが、本作の町には大抵「病院」がありそこで毒や戦闘不能の治療が行えます。病院によると窓口の人から最後に「献血していきませんか?」と聞かれる場合があります。献血すると何も得るものはありませんが、ただHPが一時的に100減ります。しかしそんなの嫌だよ!と断ってしまうと徳が低下してしまうんです。例えHPが101しかなかろうとも、窓口で聞かれてしまったら献血しないと徳は高まりません。得は無くとも徳を得る、ということですね。

「名誉」…これは良い行いを評価されることなのですが、必要な行動は基本的にその1で説明した内容と重複するので割愛します。それ以外では、ゲームの進行に大きく関わる「ルーン」というアイテムを取得することでも高まります。

「崇高な心」…これは尊さということなんでしょうが、これは徳の中でもちょっと解りにくいものなので詳しくは後述しますが、崇高な心以外の7つの徳を聖者の域まで高めたと認められるための”ある行為”に関わってきます。

「謙譲」…これはへりくだり、ひかえめであることなのですが、例えば町の人から「あなたは謙虚ですか?」と聞かれたとします、いくら謙虚に行動しているつもりだったとしても、自分は謙虚であると公言するのは謙虚な姿勢ではないですよね?このように本作に登場する何人かの人物からの質問に対して、謙虚である事を示す回答ができるかが影響します。

さてここまで8つの徳を高める行為について説明してきましたが、どうですか?面倒臭いでしょう?w
本作をクリアするためには、これらすべての事に常に留意しながら徳を高めていく必要があります。そして徳に関しては、非常に厄介なことがまだ他にもあるのです。それは、徳が高まるとか低くなるとか散々説明してきたんですけど、その肝心な

徳の現在の状況は、数字などで確認することができない という事です。

つまりレベルや経験値、STRとかDEXなどのようにプレイヤーが目で見て解るように数値化がされていないんです。だから、あれ?さっき代金間違って支払わなかったかな?さっきの回答正しかったのかな?そういった行動の成功失敗が確認できないんですね。それどころか上記のようなこうすれば上がるとか下がるとかの方法は、最初プレイヤーはまったくわかりません。なのでこれに気がつかなければ、永遠にこのゲームをクリアすることが不可能ということなんですよ…。

*ホークウィンドという男

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先ほど8つの徳の状況は数値で確認できないという話をしましたが、実は数値でなければ確認する方法はあります。それはロード・ブリティッシュのいるブリタニア城の中にいる「ホークウィンド」という男に会うことです。なんと彼は、主人公の心の中にある8つの徳の状況を感じ取ることができるらしく、彼にそれぞれの徳について尋ねると現状を教えてくれるんです。

とはいえ、教えてくれるのは4段階くらい(?)の状況にあわせた言葉で、全く駄目な状況だと「無に等しい!」などと罵声を浴びせられますが、徳が高くなると「道を示しつつある!」と期待感のある返事を貰えます。そして徳が完全に高まると「今や昇華の時は来たり!」と太鼓判を押してくれます。それぞれの徳についてこの言葉を貰えれば、第一段階は完了です。

さっきも説明したように、行動には常に気を配らないとちょっとした行動のミスでも徳はガタ落ちします。そのため、定期的にこのホークウィンドという男に会って徳の状況の確認は必須です。多分初心者プレイヤーにとっては、ゲーム中一番会話することになるNPCではないでしょうか?この国の王様よりもw

*ルーン、マントラ、そして神殿

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ホークウィンドから徳に対して太鼓判を押してもらってもそれで終わりではありません。次にやるべき事は、この世界のどこかにあるそれぞれの徳を司る”神殿”に行って「瞑想」を行う事です。しかし、この神殿に入るには神殿の特に対応した「ルーン」というアイテムが必要で、また瞑想を行うにはこれも徳に対応した「マントラ」というキーワードも必要なんです。

なのでプレイヤーは徳を高める行動だけでなく、世界中を回ってこのルーンとマントラを探し出さなければいけないわけです。これらは大抵主要な町で手に入れることができますが、ノーヒントではまず見つかることは無いでしょう。こまめに町の人との会話をメモして、情報収集を行わなければどちらも手に入りません。これがまた大変なんだ…。

やっとの思いでルーンとマントラを見つけたら神殿へ行って瞑想です。瞑想には1~3の周期があり、お墨付きを貰っている状態であれば3周期目が選べ、3周期目の瞑想を終えるとそこで始めてその徳が「聖者の位にまで高まった」事になるんです。ちなみに1と2周期目の瞑想を行うと、徳をさらに高めるためのヒントがもらえます。

ちなみ徳の一つである「崇高な心」は、この神殿で瞑想を終えた事によって高まるそうなので、必然的に一番最後に高まる徳ということになります。あとこれも重要なことなのですが、例え聖者の位まで徳が高まったとしても、その後で悪い行動をすれば一瞬でパアになるのでゲームを終えるまで、徳についてはまったく気が抜けない状態だと言えるでしょう。

*まとめ

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そうして8つ全ての徳が聖者の位まで高まったら、主人公は晴れて「聖者(アバタール)」となるのですが、実はこのゲームそれで終わりではないんです、まだいくつかの重要な謎を解き、必要な行動を取らなければいけないのですが、そこまで説明していると本当にこの紹介記事が終わらないので、そこについては割愛させていただきます。

ここまでが大まかではありますが「ウルティマIV」という作品の解説になります。どうでしたでしょうか?
本作を遊んでみたいと思いましたか?思わないでしょう?w
私が面倒臭くて投げてしまった理由が少し解ってもらえたのではないでしょうか?

だがしかしです! だからといってこのゲームは決して駄作と言うことは無く、確かに面倒臭いけれどそれを越えてむしろ名作だとも思えるのです。それは当時のものとしては、ゲームシステムそのものの完成度が高く、操作面などは最初若干のとっつき難さを感じますが、これはすぐに慣れるので問題はありません。

またゲームボリュームが当時のものとしては大きく、とにかく広い世界を森や山、そして海を越えて幾つもの町やダンジョンを見つけ出したり、馬や船、さらには気球などを使っての移動は”冒険しているワクワク感”はハンパありません。さらに町の人々の会話データ豊富さも凄いものがあり、ただ町の入り口に突っ立っているどうでもいいNPCにですら、有用なものから無用なものまで数パターンの会話データが存在しているんです。こういうことにより、プレイヤーが”この世界の中に自分がいる”という実感が凄くわいてくるんですよね。

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そして本作を名作と考えるもう一つの理由は、その”自由度”でしょう。本作にはぶっちゃけ”ストーリー”というものがありません。これはマイナス要素にも思えますが、逆にプレイヤーの行動を縛るものが無いということにもなります。本作では、一般的なRPGによくある”イベント等を進めるとといける場所が増える”というようなものもありません。ゲームが始まった瞬間から、世界中のありとあらゆる場所に行くことが可能になっているんです(乗り物やアイテムが必要な場所以外は)。

さらに本作では、ゲームを始めてまず何々をしろとか、どこどこへ行けとか人々から指示されることもありません(あっても情報としてであって縛りでは無い)。なので、ゲームが始まったらどこへ行くのも何から始めるのも、そして必要な条件を満たしさえするならば、どういうやり方で、どういうルートでクリアを目指すのかも、全部プレイヤー自身が考えて決めることができるんです。

それだけではありません。最初に選択した職業で主人公の強さとスタート位置が全く変わるので、もし最初に騎士で始めてその後ゲームクリアをしたとしても、次に羊飼いで始めたとしたらその難易度も進行ルートも全く変わるので、前回とは違う遊び方もできるでしょう。っていうか8つの職業中最弱の羊飼いで始めると、海のど真ん中にある廃墟しかない小島から始まるんですから凄いですよねw

私も正直なところ、徳の管理のめんどくささに本作を忌避していたんです。でもいざ始めてみて真剣にこの作品と向き合ってみると、この作品の奥深さと自由度の高さに気がつき、当時なんでもっとちゃんと遊ばなかったんだろうかと後悔したくらいです。完全な食わず嫌いだったんですね。本作を今でもプレイしている人がいるというのも、今なら実に納得できてしまいます。いつかプレイ日記とかやってみたいものです(大変だろうけど)。

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ただやはり、ゲーム中のストーリー展開が無く、イベントも無いということで盛り上がりに欠けるのと、自由度が高すぎて正直何をしていいのかがなかなか見えてこないという点は、人によってはマイナスの評価になるかもしれませんね。
あなたは、この点をどう思うでしょうか?

ということで、3回にわたった「ウルティマIV」の紹介記事もこれにて終了です。実のところ、本当はもっと前にこの作品を取り上げたかった気持ちはあったのですが、やはり本作を少し忌避していたのと、この作品を皆さんに上手く伝えられるような記事が書ける自信が無かったというのが理由です。まあ自信は今でもありませんが、少しでも伝わるようなものが書けていたなら、

今や昇華の時は来たり! って気持ちです。


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