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発売年:1991年
開発元:日本テレネット(ライオット)
ジャンル:ファンタジーロールプレイングゲーム
発売機種:PCエンジン(CD-ROM2)

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「天使の詩(うた)」は、1991年に「夢幻戦士ヴァリス」シリーズで有名な「日本テレネット」より発売されたPCエンジンSUPERCD-ROM2(ロムロム)用ファンタジーロールプレイングゲームで、当時のRPGではちょっと馴染みの薄かった「ケルト神話」をモチーフにした作品であり、作品全体の落ち着いた世界観とそれを表現する良質のBGM、そしてストーリー自体も非常に心に残るものであったため、現在でも良作RPGのひとつとしてあげるファンも多い作品です。

本作のキャラクターデザインは、あのナムコの「ワルキューレの伝説」シリーズを手がけた「冨士宏」氏で、また音楽を担当したのは「ワイルドアームズ」シリーズの「なるけみちこ」さん(当時は日本テレネットの社員だった)でした。このお二人の作られたものが、このゲームの柔らかい世界観というものを非常によく演出していたと思います。

ちなみに本作はPCエンジンCD-ROM2の4倍のSRAMを持つ「SUPER CD-ROM2」専用ソフト(ゲームケースの背中のところにピンクの帯で「SUPER CD-ROM2」と書かれていた)の第一弾として発売されましたが、同じ日にファルコムの名作RPGである「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」も「SUPER CD-ROM2 第一弾ソフト」としてハドソンより発売されてしまったため、やや印象が薄かった記憶も…。まあ私はこっちを買いましたがねw

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本作のストーリーはこんな感じでした。
その昔、地上には魔法を使える人間と使えない人間がいましたが、どちらもそれぞれ協力し合い豊かに暮らしていました。しかしあるとき魔法を使えるものがその力を悪用し始め、ついには地上を全て魔法を使えるものたちだけで支配しようと反乱を起こしたのです。そしてその反乱者達の中に恐ろしいほどの力を持った「サタン」という男がおり、サタンはその力で反乱者たちをまとめ首領となりました。

するとどこからか一人の男が現れ、男はたった一人で強力なサタンの軍団を打ち負かし、サタンと反乱者たちを地底の奥深くに封印してしまいます。人々は彼を「英雄」と呼び、地上は再び平和な世界になったのです。しかし反乱者達との長い戦いにより地上波荒れ果ててしまっていたため、英雄は人々に空の上にある「天上界」に移り住むことを薦め、それに従い一部の人間は英雄と共に天上界へ行き、残った人間は地上で長い時間をかけ、大地を耕し緑を復活させることに成功したのです。

そして長い年月がたち、地上の人々が天上界に行った人たちを「神」と呼び、地下に封印された反乱者たちを「悪魔」と呼んで語り継ぐようになった頃、エリンという土地のロスコモン村で「ケアル」と「クレア」という男女が、結婚の洗礼を受けるためにコーク城へ向かう旅立ちの準備をしていました。しかし幸せいっぱいの二人は、このあと訪れる辛い試練、そして地下深くで目覚めようとしている「存在」に気づくはずもありませんでした…。

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本作は平たく言うと「ドラゴンクエスト」タイプのフィールド探索型RPGなのですが。まずゲームを始めると恐らくほとんどのプレイヤーが「ソコ」に驚いたのではないでしょうか?ソコというのは、そうです画面に表示される
キャラクターの小ささにです
当時家庭用ゲーム機のRPGというのはほとんどがそれこそドラゴンクエストを模したに影響を受けたものであり、自然とキャラクターの大きさや、町や村の建物、NPCの大きさなどもそれに近いものになっていました。

しかし本作で画面に表示されるキャラクターの大きさは、なんとそのドラゴンクエストなどのキャラクターを縦に割ったその半分くらいの大きさしかなかったのです。もちろんキャラクターが小さいということは、描けるドット数も少なくなり表現がやや乏しくなってしまうため、正直ぱっと見ではNPCなんだかプレイヤーキャラなんだかが動かさないと解りにくいという状態になっていましたね(NPCのおばあちゃんなんだか、白髪のヒロインなんだか区別が…w)。

しかしそのおかげ(?)で、町や村の大きさそのものが他のRPGと同じくらいしかなくても、NPCも家も置かれている物も全部が小さいサイズなので異様に広く感じることができました。まあ広く感じるというか実際に広いので普通に歩くと歩き回るのに時間がかかってしまうため、最初からボタン(IIボタン)を押しっぱなしにすると早く歩けるという機能がついていましたね。

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村や町の外に出るとワールドマップ上での移動となるのですが、こちらも同様にキャラや山、川、建物のサイズが他のRPGより小さくなっているので、こちらも実際の広さに比べてかなり広く感じました。また本作には一応「時間」の概念があり、ワールドマップ上では常に時間が経過していき、それに応じて風景も朝、昼、夕、夜というように移り変わっていきます。

だからと言ってワールドマップ上では夜になると敵が強くなるとか、エンカウント率が高くなるとかそういった影響は無いのですが、この時間の移り変わりのおかげでワールドマップ上での移動については距離感や世界の広さをより強く感じるようになっていましたね。ちなみに夜に町や建物などに入ると、城などでは門が閉じていたり町ではお店が閉店していたりしますが、町や城(ダンジョン)の中では時間は経過することはありません。

このように本作にはゲーム上の時間の流れが存在しますが、かといって時間制限のあるイベントがあったりゲームクリアまでの日数によるエンディングの変化などといった効果はありませんでした。あくまで演出の一つとしての時間ということですね。ただこの時間の流れは、移動中にコマンド画面を開いている間でも止まることがないので、道具袋から回復アイテムを使用するだけで1晩経過したりもしますw

余談ですが本作はヨーロッパに伝わるケルト神話をモチーフにしているということもあってか、ワールドマップは全体で見ると「グレートブリテン島」の形をしており、話によると地形(山の多い場所など)も実際のグレートブリテン島を意識して作っているらしいです(確かに付属マニュアルの全体マップと見比べるとそうなっている)。

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さて本作ではワールドマップやダンジョンを移動中に、ランダムエンカウントにより戦闘シーンに切り替ります。戦闘シーンは、II以降のドラゴンクエストタイプの画面構成に近くなっており、出現した敵が画面中央に横一列に表示され、画面上には味方の状況、画面下には戦闘メッセージが表示されるようになっています。

とその前に、触れ忘れていましたがゲーム開始時はパーティが主人公であるケアルとクレアの2名だけで、ストーリーが進むにつれドルイドの老人「ブゼン」、剣士の若者「ジト」、ケルト民族の女の子「エンヤ」らがパーティーに加わり最大5人パーティとなります。ただしストーリー展開によるキャラの入れ替わりも多いため、5人フルパーティの状態になるのはなかなか無いのが残念でした。

戦闘では、各キャラクターにプレイヤーがコマンド選択で指示を与え、あとは敵味方入り乱れて素早さの早い順に行動をしていきます。キャラに指示できるコマンドは、戦う、魔法、道具、防御、逃げるといった非常にベーシックなものばかりで本作独自の目新しいものはありませんでしたが、その分すんなりと馴染める遊びやすいシステムであったともいえます。

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ダンジョンや塔などにはボスクラスの敵がおり、それらとは簡単なイベントのあとで戦闘となります。ボス戦は戦闘システムは通常のものと一緒なのですが、いくつかボス戦ならではの特別な「効果」がありました。まず一つはボスキャラが「アニメーション」するということです。雑魚敵は基本的に動かない(せいぜい浮いてるような効果くらい)のですが、ボスキャラは攻撃時にそのキャラ毎の独自のアニメーションがありました。

竜のような敵が体をうねらせたり、獣人の剣士が剣でなぎ払ったりとそこそこスムーズなアニメーションでプレイヤー楽しませてくれたのですが、ただ個人的には無数の触手の先に目玉がついたボスが攻撃してくるときに、その目玉が一斉にこちらを向くアニメーションが気持ち悪かったのをよく覚えていますw

また雑魚との戦闘シーンではBGMがPCエンジンの内臓音源によるものだったのに対し、ボス戦ではCDからの生音になるという違いがあり、そしてこのBGMがまたいかにもボス戦っていう怪しい雰囲気がすごく良いものでした。あ、あと、ちょっとした事なんですが、ボスキャラのみ残り体力が少なくなると体の一部の色が赤く変化するという効果があり、これがプレイヤーとして良い目安になり助かりましたね。

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さて先ほどから本作品を説明する際に度々「ドラゴンクエスト」を引き合いに出してきました。日本でドラゴンクエストが発売され、RPGとはこういうものだというものが一般的に認識されるようになると、まさに「雨後の筍」のごとくドラクエタイプのRPGが多数発売されましたが、しかしその殆どは上っ面だけをドラクエっぽくしただけでその中身はドラクエとは比較するのもおこがましいような「劣化コピー品」も多かったのが事実です。

本作「天使の詩」をドラクエのコピー品だとは思いませんが、ドラクエが作り出した「家庭用ゲーム機向けの遊びやすいRPG」というフォーマットを忠実に守った作品だとは思います。また本作はシステム面でもそういうRPGのフォーマットに忠実であるがゆえに「減点」となるところが無く、逆に忠実であるがゆえに「加点」となる部分も無い、悪い言い方をすれば「地味な凡作」とも思える作品でした。

しかし、本作を単なる凡作で終わらせなかったのは、まず最初にも言いましたが作品全体を包み込んでいる独特の世界観と、それを美しく演出し盛り上げる耳に心地いい優しい音楽たちがあります。特に音楽については、いまだに個人的に「音楽の良かったRPG」をいくつかあげようとしたら必ず本作が入るほどお気に入りの存在となっていますから。特に最初のケアルとクレアが旅立つデモシーンの曲は必聴の価値ありでしょう。

そしてさらに、これも最初に言いましたがプレイヤーの心にずっしり残る印象的なストーリーだったと思います。ネタバレになってしまうので多くは語れませんが、この物語の結末は世界全体としてみれば「ハッピーエンド」ではあるものの、主人公達の目から見れば「バッドエンド」ともとれる内容で、当時本作をプレイし最後までクリアした私もそのラストには唖然としてしまいました。受け入れがたい結末を受け入れなければいけない、その言葉にできない気持ちを噛みしめて再び歩き出した主人公のあの顔は、クリア後もしばらく私の頭から離れなかったくらいです…。

私はこんなブログをやっていると、たまに「良いRPGとはなんだろうか?」とふと考えてしまうことがあります。我々はついシステムの奇抜さや複雑さ、演出の派手さ、グラフィックの綺麗さという尖った部分にばかり目が行ってしまい、そこを主な評価の対象としてしまうことがあります。そういう視点で言えば、本作は非常に地味であり評価も低くなってしまうかもしれません、しかし本作をプレイし最後までクリアした自分の心に残った感情をもって評価とするならば、本作は間違いなく「名作」であったと断言できるでしょう。


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ちなみに本作には続編といえるものが2本存在しており、1993年に同じPCエンジンにて「天使の詩II 堕天使の選択」、1994年にはスーパーファミコンにて「天使の詩 白き翼の祈り」が発売されています。「堕天使の選択」は登場人物たちも話の内容も全て変わってしまいますが、世界は本作と繋がっており一部分のみに本作の主人公であるケアルが登場します。そして「白き翼の祈り」も同様に世界は繋がっており、本作と「堕天使の選択」の完結編にあたる内容になっていました。

私もこれらの作品の存在を知ってはいたのですが、キャラクターデザインががらりと変わってしまった(「天空のエスカフローネ」の結城信輝氏になった)為、それがどうも受け入れられなくてスルーしてしまいました。しかしケアルたちがあのあとどうなったのかはいまだに心残りでもあるので、いつか折を見てプレイ出来たらなと思っています。


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