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発売年:1988年 ※Apple II版は1987年
開発元:アスキー
ジャンル:ファンタジーRPG
発売機種:PC-88、PC98、PCエンジンなど
※画像はすべてPC-88版です

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さてゲームに限らずどんな作品でも、シリーズが長く続けば目新しさがなくなってきますよね。
”シリーズが安定した”と言えば聞こえはいいですが、見方によっては”マンネリ化した”とも思われがちです。
そういった場合の手段の一つとして”規制の概念を一度ぶち壊した新しいものを作る”というのがありますが、これは大きな冒険であり賭けです。
成功すればシリーズの延命になりますが、失敗すればシリーズに止めを指す結果になるかもしれません。

最近では今までオフラインゲームとして馴染まれてきた国民的RPG「ドラゴンクエスト」がオンラインゲーム化し、プレイヤーやファンの間に大規模な議論を醸し出しましたね。
ドラゴンクエストのオンラインゲームが成功となるか失敗となるか私にはわかりませんが、ゲームの歴史を遡れば同じように大きく路線を変更してファンを困惑させた世界的に有名な作品がみつかります。

それが今回紹介する「Wizardry #4 ワードナの逆襲」です。

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「ウィザードリィ」と言えば「ローグ」「ウルティマ」と並ぶコンピューターRPG最古参と呼ばれるゲームです。
深く複雑なダンジョンを巡り謎を解き、キャラクターを成長させ強敵を倒して宝物を手に入れる。というスタイルは、後のあらゆるRPGに少なからず、いや多くの影響を与えているだけでなく「ウィザードリィ」シリーズは今でも新作が作られるほどの知名度と熱心なファンを持っています。

そのウィザードリィの最初の作品「ウィザードリィ #1 狂王の試練場」では、プレイヤーたちは「トレボー」という王の命令により町外れの迷宮の最新部に潜む「魔術師ワードナー」を倒し”お守り”を奪い返してくるのが目的でした。
そして迷宮最新部の部屋で無数のヴァンパイア、そして”ヴァンパイアロード”を従えて登場したワードナは、強力な魔法でプレイヤーたちを恐怖に陥れました。

前置きが長くなりましたがこの「Wizardry #4 ワードナの逆襲」は、なんとプレイヤー自身がかつて自分たちを苦しめた強力な魔術師”ワードナー”になって、恐ろしい魔物達を従え、奪われた”お守り”を再び奪い返すべく迷宮を登っていくというゲームなんです。この内容だけ聞けば、
なんてワクワクする内容のゲームなんだろう!と思うでしょう?
でも現実はちょっと違っていたのです…。

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ゲームがスタートすると非常に馴染み深い画面が表示され、キャラクターのところに”WERDNA”と表記されていることで、おお自分がワードナーになったんだなということが実感できます。
が!HPを見てみるとたったの1、ステータスを見てみるとオール8、さらになんと魔法の使用回数がすべて0のうえ、全ての魔術師魔法も忘れてしまっています。

なにこれ?誰これ?作ったばかりのLV1のMAGEより弱いじゃん!
こんなんワードナーじゃねえよ、単なる100歳のおじいちゃんだよ。こんなんじゃ速攻殺されちゃうじゃん!と誰もが驚くことでしょう。

しかし実はこの状態のワードナーは復活したばかりでいわゆる”寝起き”状態、すぐ隣にある魔法陣に入ると全ての魔術師呪文を思いだし、HPは10になり、能力値もオール9にかわります。しかし残念ながら魔法の使用回数は、LV1が9に増えるだけなので他のレベルの魔法は使用できません。これは経験値を稼いでレベルを上げろってことなの?

いいえ、なんと本作には経験値という概念が存在せず。ワードナーは今後フロアを1つ上り、そこにある魔法陣に入るたびにレベルとステータスが1上がり、次のレベルの魔法使用回数が9になるという仕様なんです。つまりどれだけ戦っても、次のフロアに登らない限り永遠に弱いまんまなんですね。
寝起き悪いのな、ワードナー!w

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まあしかし、例えワードナーが弱かろうとも連れて行くモンスターたちが強力ならば探索も安全なはず。
この魔法陣ではワードナーのレベルアップだけでなく、モンスターの召喚も可能なので早速呼び出してみよう!さーて”マイルフィック”がいいかな?”フラック”がいいかな?やっぱり”グレーターデーモン”かなーー??ワクワク。

…クリーピングコイン。

…オーク。

…LV1メイジ。

…バブリースライム。


… (゚Д゚;)


雑魚ばっかりじゃねえか!!
おいおいどーなってんだよ、こんなゴミカスみたいな雑魚モンスターじゃ冒険者のティルトウェイト1発で消し炭だよ。
もっと強いの!もっと強いモンスターを召喚させろ!それが楽しみなんじゃねえか!って誰もが思うでしょうね。
これについても上のフロアの魔法陣に行く事に、今までより強いモンスターが召喚できるようになっています。

それまでは例え雑魚でも我慢して連れて行くしかありません。
それに雑魚雑魚言いますが、現状のワードナーよりはみんな強いですからねw

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魔法陣を出て迷宮を歩き始めると敵に遭遇します。この作品でいう”敵”とは迷宮に来た冒険者たち、すなわち過去の我々です。
戦闘画面が表示されると思わず「お?」と声を上げてしまうかもしれません。かつて多くのモンスターたちが表示されてきた場所に表示されたのは、戦士や僧侶、侍らしき姿の人間たちの姿。そしてかつてプレイヤーたちが操ったキャラクターが表示されていたエリアには今遭遇した敵の名前、そしてかつてプレイヤーたちが戦ったモンスターの名前が表示されていたエリアには現在のプレイヤー(ワードナー)たちの名前が出ているんです。

ホントに立場が入れ替わってるんだなという実感を抱きつつ戦闘開始。
さーて、下僕どもにはどんな命令をしようかなー?…あれ?自分の行動しか設定できないよ?どーなってんの?!

はい、本作では味方であるモンスターたちに対して、一切命令ができません。
モンスターたちはAIにより勝手に好きなように思うがままに行動します。連携も統率も仲間意識もありません。それどころか例えプリーストを召喚している状況でワードナーのHPが危なくなったとしても、
回復もせずに夢中で敵にBADIOS(僧侶系攻撃魔法)を撃ち込んでいます。
もう主従関係すらありません。ワードナーは魔術師なので僧侶系魔法が使えませんから、自分のHPが危ない時は自分で回復アイテムを使って回復するくらいしかできません。

家族として一緒に同じ家には住んでいるけど、家族から無視されてるおじいちゃん状態です。切ないです。
しかし魔物も経験値で強くなることもないし、死んでもまた魔法陣に行けば何度でも呼び出せるので、愛着なぞない使い捨ての存在として考えればちょっと優位に立ってる感じがすると思います。つかそう考えないと辛いですw
天下の大魔術師ワードナー様も、せめてマハリトくらい使えないことには役たたずですからねえ…。

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ここまで話した内容で本作が”大魔術師ワードナーが強力なモンスターたちを従えて復讐を果たす”というイメージとは随分違う感じがするというのはわかっていただけたでしょうか?
本作は日本では1988年にPC版が発売されてから、1994年にPCエンジン版が発売されるまで6年間もの間家庭用ゲーム機には移植されませんでした。ファミコン版の#1~#3までがPC版発売後2年ほどで発売されていることを考えれば異常な遅さです(しかも結局ファミコン版では#4は発売されていない)。

この理由は今まで述べてきた事が原因…というだけでなく、それ以外にも大きな原因がありました。
それはゲーム自体の難易度です。

まずこのゲームは出口のない小さな部屋から始まります。壁を叩いてもうろつき回ってもどこにもいけません。
#2でのある仕掛けを覚えていれば「”MALOR"を使って外に出る?」なんて方法が思いつきますが、どっこい最初の時点ではLV1の魔法しか使えないので”MALOR"は使用できません。じゃあいったいどうすればいいのか?
正解は魔法陣でプリーストを召喚して、戦闘中に”MILWA”を暴発させる。ですw
”MILWA”は僧侶系のLV1魔法で迷宮を少し明るくし、かつ”隠し扉”も見えるようになる魔法なのですが、まさかそれを戦闘中に命令のできないプリーストに唱えさせるなんて思いつきますか?

しょっぱなからこんな感じで、その後もヒントが少ない謎や仕掛け、あるいはクイズ(?)が多く、さらには前にも書いてますがワードナー自身を守る術が少なすぎてすぐ冒険者に殺されてゲームオーバーになったり、あまつさえ謎解き要素も多いし迷宮も複雑なのに同じフロアに長くいると、
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トレボーの亡霊に掴まってゲームオーバーになる
なんて家庭用に移植するにはちょっと無茶すぎる仕様、キツすぎる難易度でした。

本作は一応ジャンルとしてはRPGなのですが、成長要素もなく謎解き要素が大きいため”パズルアドベンチャーゲーム”という印象が強く、画面こそ同じですが今までのウィザードリィと大きく違うことからファンの間に「なんでこんなのにしたの?」という大きな疑問を抱かせた作品だったと思います。

その疑問が通じたのかはわかりませんが、2年後に発売された「Wizardry#5 災渦の中心」が今まで通り+αのウィザードリィであったため大きく胸を撫で下ろしたファンは、きっと私だけじゃないはずです。
とはいえさらに翌年にもう1回疑問を抱くことになるんですけどねw



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「Wizardry #4 ワードナの逆襲」というゲームは、長いウィザードリィシリーズの歴史の中でもかなりの”異端作”だと思います。(個人的には#6~#7もかなり異端だが、RPGという垣根は超えていなかったのでまだ良かった)。
本作が発売された当時、私は友人宅でこのゲームをプレイしましたが楽しさが分からずにすぐ断念しました。いや、というより過去の作品があまりに好きすぎたために、あまりの変貌っぷりが受け入れられず拒否反応を起こしただけです。

ちゃんとやり方を理解してプレイすれば少なくとも「駄作」ではないとわかるんですが、どうしても「こんなのWizじゃない!」という気持ちが強くなって素直に受け入れられないんですよね。今まで”クォータービュー”だった「イース」が3作目で”サイドビュー”になったとき、ただその違和感だけでしばらく受け入れられなかったのと同じです。

作品のマンネリ化を防ぐためにときには大きな冒険というのも必要です。しかし作品のファンにとってその変化はストレートに”拒否感”に繋がります。これはどうしようもないことです。
なので作り手側は大きな冒険をするのであれば、その時にファンに発生する違和感を消し去るだけのクオリティできて欲しい。やっつけや間に合せなどで無く、そのシリーズの冠をもつという事の”覚悟”を持ってきて欲しい。

そうすれば、きっと今まで追いかけてきたファンならわかってくれると、私は思います。



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(1994/03/04)
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