1903ddfe.png


発売年:1983年
開発元:BPS
ジャンル:ファンタジーRPG
発売機種:PC-88、X1、FM-7、MSXほか
※画像はすべてPC88版のものです

0094

fa0aea54.png

*はじめに
「ザ・ブラックオニキス」は1983年にBPS(Bullet Proof Software)より発売された3Dダンジョン探索型ロールプレイングゲームで、日本国産RPGの元祖のひとつと言われています。
後に本作で育てたキャラクターをそのまま使用できる「ザ・ファイアクリスタル」という続編が発売され、さらには「ザ・ムーンストーン」という三作品目も予定されていましたが、結局発売されないまま現在に至っています。

ちなみにBPSという会社のパソコンゲーム代表作というと、やはりこの作品と「テトリス」でしょうか。
テトリスの知名度というと一般的には家庭用ゲーム機で販売していた任天堂版が最も高く、次にセガのアーケード版という感じだと思いますが、当時パソコンゲームにどっぷりはまっていた人たちにとっては、テトリス=BPSというイメージが強いかもしれませんね。

c0c99c09.png

*ストーリー
秘密のベールに包まれた宝石「ブラックオニキス」。
ひとたび手に入れれば永遠の若さと莫大な富を得ると伝えられているそれは、ウツロの町に行かなくては手に入れられないという。
この話を耳にしたあなたは何年も旅を続け、今ウツロの町を目前にしている。
この町に伝わる伝説によれば、ブラックオニキスは町外れのブラックタワーのどこかに隠されているが、そこに行くには様々な試練を乗り越え無くてはならないという。
町の中央にある廃墟の中に塔に通ずる地下道があるらしいのだが…。

445ca88b.png

*キャラクターメイキング
本作をプレイするためには、まずキャラクターを作成しなければいけませんでした。
しかし当時RPGの代表格であったウルティマやウィザードリィのように、パラメーターを設定するというタイプのキャラクターメイキングではなく”容姿を設定するだけ”という非常に特殊なものでした。
設定できるのは50種類の「髪型(顔)」と5種類の「服装」というシンプルなものでしたが、現在キャラクターメイクングが可能なRPGではほとんど標準装備されている”キャラクターの容姿設定”ですが、当時キャラクターの容姿まで設定できるというシステムは恐らく本作以外に存在しなかったのではないでしょうか。

ちなみにキャラクターに設定されているパラメーターは、LIFE(体力)、STR(力強さ)、DEX(素早さ)の3種類とこちらもシンプルで、キャラクター作成時にこれらの数値をプレイヤーがいじることは出来ず、初期パラメーターは恐らく設定した名前によって決定されたものになったと思われます。※同じ名前だと容姿は違っても同じパラメータになるため

c1a425fa.png

*システム
キャラクターを最低限1人作れば冒険の旅に出発できるようになります。
さて本作は初期の3DダンジョンRPGという事で、システム周りについては本作の参考にもなっている「ウィザードリィ(以下:WIZ)」とちょいちょい比較しながら話を進めていこうかと思います。

ゲームが始まると上のような画像になります。大雑把に説明すると画面左側①の部分がキャラクター表示部、②が3Dダンジョン表示部、③がメッセージ表示部となっています。
まずびっくりしたのは画面に自分たちのキャラクターが常に表示されていることでした。それまでのRPG、例えばWIZなどではパーティを組んでいるキャラクターたちは絵ではなく文字の一覧で表示されているだけでしたが、本作ではそれをグラフィックとしてちゃんと表示しているだけでなく、キャラクターが武器や防具などを購入した場合、
キャラクターが購入した武器や防具を装備した絵に変わるのです。
今の人なら「当たり前じゃん?w」と思うかもしれませんが、当時これはかなり斬新な表現でした。

また各キャラクターのLIFE(体力)や経験値の状況が、それまでのRPGで主流だった数値ではなく、画面上部キャラクターの名前の右側にグラフとして表示していたのも非常に特徴的でした。

55055fd0.png

*ウツロの町
ゲームは最初「ウツロ」という町の中から始まります。WIZでは町の様子は簡略化され、行きたい施設をキー入力で指定するだけのものでしたが、本作では町そのものも3Dダンジョン化されており、各施設に行くには実際にテンキーで操作して移動するという必要がありました。
これはこれで雰囲気が非常に表現されていて素晴らしいのですが、長く遊んでいるといちいち目的の施設に移動しなければならないのはちょっと面倒だったかもしれません。

町を歩いていると、まれに自分達と同じような冒険者達に出会うことがあります。彼らとは会話をすることも、仲間に勧誘することもでき、さらには戦闘して殺してしまうことさえ可能とかなり自由でした。
町で会った人を殺してしまうと”カルマ”が上昇してしまうというペナルティがありましたが、本作に限った話では”カルマ”は意味のないパラメーターだったのでやりたい放題だったとも言えます(大抵は戦っても逃げられるのですが)。

町の中の主な施設には武器や防具の店から、薬屋、体力を回復する病院、お金を預けられる銀行などひと通りそろっていましたが、中には泊まれない宿屋(本作には宿屋でHP回復というシステムがない)や、潰れている散髪屋なんて施設もありました。

72e047f9.png

*戦闘
ウツロの町には墓場と古井戸があり、そこから地下迷宮に行くことが出来ます。
地下迷宮では地上とは違い様々なモンスターとも遭遇します。敵との遭遇はランダムか特定の位置を通過すると発生というWIZ仕様でした。
敵に遭遇するとプレイヤーたちの右側に遭遇したモンスターのグラフィックが表示され、その下にプレイヤーたちと同じようにモンスターたちの体力がゲージで表示されます。

パーティキャラそれぞれで攻撃する相手を指定すれば戦闘開始ですが、攻撃はターン制ではなくDEXの高い人順に攻撃していくタイプのものでした。本作について言えば”魔法”は存在しないので、攻撃はひたすら殴るだけのシンプルなもの、回復についても薬局で最大5個まで買える”薬”に頼る以外はありませんでした。
戦闘は単調でまったく派手さはないのですが、敵のHPをゲージで確認できるというのは戦略(っていう程でもないけど)が立てやすく親切だったと思います。

84652f88.png

*敵の群れ
ちなみにWIZなどでは同じ種類で複数のモンスターと遭遇した場合、モンスター名の横に括弧書きでその数が表示されていましたが、本作ではなんと遭遇した数だけ画面に表示されるという面白い仕様になっていました。
一度に登場する敵の種類は必ず1種類でそれぞれに出現する大体の数というのが決まっていて、小型の雑魚敵などはときに20匹ほど登場することもあり、そうなると上の画像のように画面がとんでもないことになったりします。
(倒すとちゃんと減っていく)
とはいえいくら雑魚敵でも最初からこんな数が出てきたら勝てるわけはないのですよね?w
出てくる数に関しては恐らくプレイヤーたちのレベルによって変わっていたのだと思います。画面のコボルドたちも最初は1~3匹くらいしか登場しませんでしたので。

遭遇した敵をすべて倒せば(あるいは向こうが逃げたら)戦闘終了となり、倒した敵の分の経験値が手に入ります。しかし入手できるお金についてはあるルールが決まっていて、ランダムエンカウントの場合は戦闘に勝ってもお金は手に入らず、特定の場所を通過した時に登場するモンスターのみ倒した場合にお金を手に入れることができました。これはWIZの宝箱の存在に近いですね。

a206f209.png

*レベルアップと…別れ
戦闘を繰り返し経験値を得て、画面上部にある水色線が右端まで来るとキャラクターがレベルアップし、同時にLIFE、STR、DEXの値も上昇します。しかしレベルアップしたのに能力値があまり増えない…ということもよくありました。
WIZなどではこういった場合リセットしてレベルアップをやり直すという事が可能でしたが、実は本作ではそうもいかなかったんです。もちろんリセットしてレベルアップをやり直すことはできたのですが、やり直しても上昇する数値に変化がないんです。
もし成長に不満があっても諦めるしか無く、頑張って最初に能力値の高いキャラクターを作っても、微々たる成長しかしないキャラは切り捨てるしかありませんでした。特殊能力とかサポートアイテムなどの要素も無いですし、武器も防具も多くあるわけじゃないので成長の差が顕著に出るゲームだったんです。
悲しいけど、これ戦争なのよね

私は大体LV3くらいまで育てても駄目だったら見切りつけていました。そんな事情ですからあまり自作したキャラクターに感情移入ができず、どうせ育てちゃ捨ててしまうのだからと一番成長のいいキャラだけ残して、あとは仲間にしたNPCだけでパーティを組む、なんてこともありましたね。
そうそう言い忘れてました。町だけでなく迷宮内でも冒険者に出会うことがあり、そのなかでもたまに出会う”バーバリアン”という種族は能力値が高く設定されていたので重宝しました。

e9a40a37.png

*国産RPGの元祖として
かなり長くなってしまったので、そろそろまとめに入りたいと思います。
本作は日本で製作されたRPGの元祖と言われていますが、海外産のRPG「ウルティマ」や「ウィザードリィ」と比べるとかなり未熟というか雑なところが正直ありました。
しかし、この作品は「ウィザードリィ」の影響を少なからず受けているとはいえ、単なる劣化コピー作品などではなく、十分なオリジナリティと後の作品への影響力を持っていたと思います。

それは、それまでのRPGにおいて情報の表現は文字によるものが基本であったのに対し、この「ザ・ブラックオニキス」という作品は、MAXHPと現在のHP、また経験値をグラフで表示、プレイヤーが操るキャラクターも絵で表示しさらにキャラクター達が今装備しているもの武器防具も絵で表現、プレイヤーが遭遇した敵の数も数字ではなくその数分絵で表現、さらにRPGにはつきもののクリアすべき”謎”の部分も”カラーダンジョン”というもので表現するなどして、
プレイヤーに対してより解りやすいグラフィカルな主張をしていたということです。
こんな事は今のRPGにおいて”あたりまえ”のような事ですが、RPGというものが日本でも作られ始めた最初の頃の作品でこれだけのことができたという事に驚きます。
※私の記憶が間違っていなければ、武器に”両手持ち”という属性をつけて両手武器のときは盾が持てないというのを表現したRPGってこれが最初じゃなかったかな?

国産RPGの元祖でありながら、RPG全体としても革新的な作品だったと私は思います。

b9029591.png

*最後に
最後に余談ではありますが、本作は開発時点で既に続編、続々編の予定があったと一番最初に話しましたが、実際はもともとは「ザ・ブラックオニキス」「ザ・ファイアクリスタル」「ザ・ムーンストーン」の3作、そして成長させたキャラクター同士を戦わせられる「アリーナ」をあわせて一つの作品として売り出すつもりが、容量の都合でこのような分割しての発売となったそうで、さらに「ザ・ムーンストーン」と「アリーナ」についてはついに発売されること無く開発元であるBPSは解散しました。
特に「ザ・ムーンストーン」は今でもかつてのパソコンユーザーの間で「ムーンストーンはまだか?」というネタ(希望?)がときおり交わされるほど待望されていた作品だったのだと思います。

あ、余談ついでですが「ザ・ブラックオニキス」は、当初「光栄(現:コーエー)」から発売される予定だったそうです。
当時の光栄の社長の薦めで、本作の開発者がBPSを創設し本作を発売したそうなのですが、もし当初の予定通り光栄から発売されていたら、シミュレーションゲームの光栄ではなく、ロールプレイングゲームの光栄という未来もありえた…かもしれませんねw



↓ブログランキングに参加してます。クリックして頂くと私の「やる気」がアップします。
にほんブログ村 ゲームブログ レトロゲームへ