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発売年:1987年  (Apple][版は1983年)
発売元:アスキー (Apple][版はSir-Tech)
ジャンル:擬似3Dダンジョン探索型RPG
発売機種:PC-88、PC-98、X1、FM-7、MSX2、ファミコンなど
※画像は個別に指定が無い限りPC98版のものです
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ところでお主は「ウィザードリィ」という作品を知っとるかね?少なくとも、ここに訪れてくる物好きな冒険者達ならば知らないということは無いであろうと断言できるくらい、有名な作品じゃな。
このウィザードリィはコンピューターRPG、得に3Dダンジョン探索タイプの始祖とも呼ばれており、この作品の様々な要素が後のRPGに大きな影響を与えたと言っても過言ではないじゃろ。
ところが、このウィザードリィが持っていた要素の中でも、後のRPG、特に国産RPGには余り影響を与えなかった要素がある。そして今回紹介する作品は、その要素にスポットを当てた作品といえるじゃろうな。

では中に入るがよい、勇者の塔 FLOOR 58 じゃ!

「ウィザードリィ #3 リルガミンの遺産」とは?
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「ウィザードリィ #3 リルガミンの遺産」とは、1983年に「sir-tech」よりApple][にて発売され、国産PC版としては1987年に「アスキー」より移植・発売された擬似3Dダンジョン探索RPGで、「ウィザードリィ #1(シナリオ1) 狂王の試練場」、「ウィザードリィ #2 ダイアモンドの騎士」の続編にあたるシリーズ第3作である。
※ファミコン版への移植としては2作目 

本作の特徴としては、プレイヤーが操作するキャラクター達に設定されたパラメータの1つである「性格」が、ゲームをクリアするための重要な"キー"となっていること、そして本作では前作までのキャラクターを利用してゲームを行うのだが、前作のようにキャラクターを「転送」させるのではなく、「転生」させるという設定になったことなどがあり、これがゲームの難易度を上げていたといえる。

シリーズ的には「続編」の位置付けであり、新たな物語、新たなモンスター、新アイテムなどが用意されているものの、ゲームシステムそのものは前作までと全く同じであるため、一般的なRPGでいう続編というよりは、「追加ディスク」と言う位置付けのほうがしっくりくる作品であろう。

ウィザードリィシリーズにおける「性格」とは
本作の説明に入る前に「ウィザードリィ」シリーズにおける「性格」について簡単に説明しておこう。
この性格とは、ゲーム内のキャラターメイキング時にプレイヤーが選択できるパラメータの1つで、選択できるものには「善」「悪」「中立」の3つが存在する。

選択した性格がゲームプレイに与える影響については、以下の3つが挙げられる。
① 選択した性格により、なれるクラスに制限がかかる
② クラスが同じでも、選択した性格により装備に制限がかかる
③ 選択した性格により、友好的な敵に遭遇した場合の行動が制限される

本作においても性格により受ける影響は同様なのだが、ここからさらに本作では性格により、ゲーム進行そのものにも影響が起きるようになったのである。

今回のストーリーは、前作より1世代後の話
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※画像はApple][版
「グニルダの杖」を取り戻した冒険(「#2 ダイアモンドの騎士」の話)より時は流れ、杖の守護と勇敢な冒険者達の指導のもと「リルガミン王国」は栄華を極めた。しかしあるときから、王国にはしばしば起きる自然災害についての噂が流れるようになる。

しかしそれは単なる噂ではなかった。
平穏であったアルビシア植民島の海が荒れ狂い島を飲み込み、リルガミン王国を襲った大地震がグニルダの寺院を破壊したことにより、人々はこの世界になにかとてつもなく悪いことが起きていることを悟る。

リルガミンの賢人達は「神秘の宝珠」の力により災害の真の理由を知ろうと考えたが、この宝珠は町外れにある山に住む「L’breth(レ・ケブレス)」という強力な力を持った龍によって守られており、容易に手を出すことができなかったのだ。

そこで賢人達は、かつて「グニルダの杖」を取り戻した冒険者、即ち「ダイアモンドの騎士」の子孫を呼び出し、かの地より宝珠を持ち帰ることを命じるのであった。

ゲームを始めるためにキャラクターを「転生」させる?
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まずなによりも、本作を始める為には最低限1〜6人までのキャラクターを用意する必要があるのだが、本作は前作まで(#1か#2)のキャラクターを使用するの前提なので、本作自体にキャラクターメイキング機能は存在しない。その為、ゲーム内のユーティリティ機能を使い、キャラクターを前作までのユーザーディスク(デュプリケイトディスク)から「移動」させてくるのだが、これについてちょっとした問題があるのだ。

まず移動を行うと、移動元のディスクからそのキャラクターは消えてしまう為、前作ではもうそのディスクは使えなくなる。次に移動してきたキャラは、レベル1、HP8、能力値は最大の18でも15まで落とされ、魔法も全て覚えなおし、持っていた装備も全て無くなり、所持金は最大でも500Gまで落とされるのだ。

#1から#2にキャラクターを移動させた際に影響を受けたのは装備と所持金だけだったのに、今回は0から作るよりはややマシという程度まで弱体化させられる。これは、今回は「転送」ではなく「転生」という設定だからという理由なのだが、過去作で高レベルのキャラクターを作って「俺TUEEEEE!!」していたプレイヤーにとってこの仕様は、ゲームを遊ぶのに躊躇するものがあったのも事実だ。
※ユーザーディスクという概念が無い家庭用移植版には、本作にもキャラクターメイキング機能がある

せっかくだから、おれはこっちの扉を選ぶぜ!
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さて、キャラクターを好きな様に作成し、パーティを組んだらゲームを開始である。とにかくLV1からの再スタートなので、シナリオ1のときのようにまずは1階で上層に上がるため(今作のダンジョンは地下迷宮ではなく「山」なので上に登っていく仕様)に十分なだけのレベル上げを行うのがいいだろう。

1階にある、固定で敵が出現する箇所を利用してある程度(LV6~7程度)レベルが上がったら、1階を本格的に探索を開始。するとやがて海賊集団のアジトに辿り着くのでそこを襲撃、「ハイコルセア」なる海賊のリーダーを倒して先に進むとその先に、プレイヤーは二つの扉を見つける。
 
この扉の先にはどちらも登り階段があるのだが、片方は普通に上の階に登れるがもう片方は登った瞬間に城まで戻されてしまう。これは単に迷宮の奥地から城に戻してくれる便利な仕掛けなのか?いや、それは違うのだ。どちらが上の階に登れる階段がある扉で、どちらが城に戻される階段がある扉なのか、それはプレイヤーのパーティ構成により変化するのである。

そしてそのパーティ構成のヒントは、この扉の前に書かれているこの文章なのだ。

"我、レ・ケブレスが言葉、しっかと聞くがよい
 この先、善き者のみにても、悪しき者のみにても
 勝利を得ることはない!"

善のパーティと悪のパーティ
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もったいぶってもしょうがないのでネタバレをしてしまうと、本作の舞台となるレ・ケブレスの住む山は、全部で6階層で構成されており、そのうち2階と4階は善のパーティ、3階と5階は悪のパーティでしか入ることができない仕掛けになっている。厳密に言うと善のパーティとは、性格が「悪」のキャラクターが存在しないパーティで、悪のパーティは性格が「善」のキャラクターが存在しないパーティの事だ。
※性格が「中立」なキャラクターはどちらに入っていても問題ない

つまり先ほどのハイセルコアを倒して進んだ先の2つの扉、このうち片方にあったのは2階に登る階段で、もう片方にあったのは3階に登る階段であり、その時のパーティが善のパーティなら2階に上る階段は登れる、ただし3階に登る階段だと城に戻されるということなのである。

もしかしたら、それなら善のパーティで1、2、4、6階と進んでラスボスを倒せば、それでゲームクリアでは?と思うかもしれない、しかし本作はそう簡単にはできていないのだ。仮に善のパーティで1、2、4と進み、最後の6階へ登ったとしても、次の瞬間あっさり城まで戻されてしまうだろう。

実は6階に登るためには、善のフロアのどこかにあるキーアイテムを見つけなければならず、仮にそのキーアイテムを入手して6階に行ったとしてもプレイヤーの前には強力な敵、本作のラスボスといってもいい存在「レ・ケブレス」が現れパーティの行く手を塞いでくる。
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そしてこのレ・ケブレスは…絶対倒すことができないのだ。

このレ・ケブレスを倒す(これは正確な表現ではないが)ためには、善と同様に悪のフロアでキーアイテムを入手し、善と悪両方のキーアイテムを"上手く使って"もう1つのキーアイテムを作成しなければいけない。つまり本作では、過去作までのように自分の好きな性格のパーティだけで攻略するのではなく、善と悪、2つのパーティを別々に育成して、別々の階層を攻略させていかないといけないのである。

本作をクリアするには、普通にやった場合最低でもLV9以上のパーティでないと苦しいだろう。ということはそれだけのパーティを2つ育成しないといけないのだから、育成にもクリアまでにも時間がかってしまうだろう。本作はこのように手間のかかるゲームなのである。

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さて、先ほど本作では善と悪、2つのパーティを育成しなければいけないので手間がかかると書いたが、しかしわざわざ馬鹿正直に善悪パーティ合計で12人を育成しなければいけない訳ではない。

求められている条件としては「善がいないパーティ」と「悪がいないパーティ」を用意すれば良いわけで、中立キャラならば両方パーティに共通して存在していても問題ないのだ。であればパーティ内で性格が善か悪のキャラを最低限にして、あとはすべて中立キャラにしてしまえば良い。

例としては、中立戦士x3、善or悪僧侶、中立盗賊、中立魔法使いというパーティ。

これなら目指す階層に合わせて僧侶を入れ替えるだけで良いし、育成の手間も6人+1人分で済む。さらに言えば、本作は別に1~6階まで順番に進んでいかなければいけない訳ではない。例えば最初は善の僧侶を入れたパーティで1、2、4、6階と進んで高層で十分にレベルを上げ、宝箱で装備を整える。

それから悪の僧侶と入れ替えて今度は1、3、5、6階と進んでいく。そうすれば僧侶はレベルが低くても頑丈な前衛と高火力魔法をもつ魔法使いのお陰でらくらくと僧侶のレベルが上げられるだろう。特に魔法使いがMAKANITOの魔法を覚えてしまえば、1~5階までの殆どの敵は一瞬で全滅させられるので経験値稼ぎが大いに捗るのは間違いない。

まとめ
最初にもちょっと触れたが、本作の根本的なゲームシステム、戦闘方法、宝箱の存在などについては前作までと一緒なので、今回の記事でそれらの説明は省略させてもらう。知りたい場合は、過去記事「勇者の塔 - FLOOR 10 『ウィザードリィ #1 狂王の試練場』」を読んで頂きたい。

ということで本作についてのまとめだが、本作の大きな要素である「善と悪、2つのパーティを用意する」という点については、そのまま受け取ると非常に大変そうな印象をうけるが、そこはKEY POINTに書いたパーティ構成と方法を使えばそこまで大変ではないと、過去作経験者ならすぐに実感できるだろう。

しかしやっぱりウィザードリィなのだから、名物クラスであるニンジャ、ロードなどの上級職も入れたい!と思うかもしれない。その気持ちは解るのだが、残念ながら本作には「GARB of LORDS」や「SHURIKENS」、そして「MURAMASA BLADE!」といった装備が無く、それどころか上級職専用の装備が全く無いので上級職を育成する旨味がない。しかも本作では得られる経験値の量が全体的に少なめに設定されているので、成長に時間のかかる上級職は寧ろ進行の足枷になってしまうのだ。この辺は本作の残念なところとともいえる。
※ちなみに家庭用移植版には「むらまさ」や「しゅりけん」、「せいなるよろい」が存在するので、上位職を育てる甲斐はまだ存在する

また本作のダンジョンは前作シナリオ2と同じ全6階という構成になっているが、前作のようにどこの階層にも強い敵がいるわけでもない(1~3階は弱い敵が多い)し、シナリオ1のように出会っただけで緊張が走るような敵も殆どいないので、シナリオ1、2を超えてきた歴戦のプレイヤーには、戦闘面でもちょっと物足りない感じがしてしまうだろう。

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しかし一方でダンジョンそのものはかなり複雑な作りで、ひたすら一方通行扉ばかりの階や、ワープ床、シュート、ダークゾーン、落とし穴などお馴染みの仕掛けも豊富に散りばめられているほか、入ったら最後「石の中にいる!」状態になってしまう即死級のトラップがあったり、NPCからのクイズに正解しないと通過できない場所も各所に存在するなど、ノーヒントで攻略するとなると相当苦労する階ばかりになっているので、攻略しがいはあるかもしれない。

tただ、最上階で自分が持っているキーアイテムと引き換えに、ゲームクリアに必要なアイテムの"偽者"を掴まされる事があるのは少し酷い様に思う。当然それを持ち帰ってもゲームクリアにはならず、それどころか6階に上がるためのキーアイテムをまた最初から集めなおさなければいけなくなるのだ。

しかもパーティにアイテムを鑑定できるビショップがいなかった場合、町に戻るまでそれが偽者だと解らないのだからまたタチが悪い。 このトラップは名作アーケードゲーム「ドルアーガの塔」の57階で、イシターと間違えてサッカバスに触れてしまうと、偽のアイテムを与えられた挙句に殺されたことを髣髴とさせるものがある。

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どうじゃったかの?さて本作のシステムには本当かどうかは解らんが、ちょっとした裏話があるんじゃ。

今作で前作までのキャラをそのまま移動させるのではなく、転生という形で弱体化させたことについては、シナリオ2はもともとシナリオ1を遊びつくした上級プレイヤー用に用意したものだったので、敵も地下1階からシナリオ1の地下10階クラスの敵を用意しておったんじゃが、開発者が予想していた以上にプレイヤーがキャラクターのレベルを上げすぎておっての、強い敵を用意していても結局ヌルい難易度になってしまったという経験を踏まえて、今回はキャラクターを弱体化させたというんじゃ。確かに知り合いにも、とんでもないレベルまで育ててた奴がおったからのう…開発者の気持ちも解る気がするわい。

あと本作では、悪のフロアに登場するキーアイテムを守護するモンスターが、機種によって「SOUL TRAPPER」のだったり「Angel」だったりするんじゃ(国産PC版は前者で、ファミコン版は後者)。どうやらこれは、宗教上の問題が関係しておるらしいのう。まあアチラの国で、天使を〇すって表現はやっぱりまずいんじゃろうな。

まあそんな裏話がある本作じゃが、個人的な話をすると本作はウィザードリィ シナリオ1~7の中で唯一最初に触ったのが家庭用移植(ファミコン)版だったという特殊な作品じゃった(他はPC版を最初に触っている)。当時わしはまだPCを持っておらんかったし、周りのPC所持者は何故かこの作品だけ買ってなかったんじゃ。

なもんで、たまたま中古ファミコンショップで見かけたファミコン版の本作を買って遊んだんじゃな。ウィザードリィはPC版しか知らなかったわしは、ファミコン版のBGMとモンスターグラフィックの美しさに驚いたもんじゃよ。ただやっぱり善悪2つのパーティを作って育てるというのがしんどくて、途中で諦めてしまったのう。

そういえば最初にもちょっと書いたが、国産のコンピューターRPGにはあまり善/悪/中立といった性格の設定は流行らなかったように思うのう。ゲームに活かしにくいというのもあるじゃろうし、国産RPGはすぐに性格も設定も決められた主人公と仲間達という方向に変わっていったのもあるんじゃろうな。

もちろん、それが悪いことだとは思ってはおらんがの。

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