black_onyx01

国産RPGの黎明期を支えたダンジョン探索型RPG、しかし黎明期の作品とは思えないその出来について見て行く。


0094
最初に.

まず最初に、この記事は新規のものではなく2012年5月23日に投稿した「ザ・ブラックオニキス - 勇者の塔 30F」を当時頂いたコメントや、その後の情報収集、そしてプレイ経験を元に今のスタイルで再編集したものじゃ。それを了承のうえ進んで欲しい。
では入るがいい、勇者の塔 30Fじゃ!

目次.

ゲーム基本情報
レガシー&レジェンズシリーズ
ストーリー
画面構成と基本操作
キャラクターメイキング
拠点「ウツロの町」
エンカウント!敵か味方か?
戦闘の流れについて
ゴールドと経験値とお宝と
レベルアップと能力値の上昇
モブから英雄に
最大にして唯一の謎
最後に
関連作品


ゲーム基本情報.

タイトル:ザ・ブラックオニキス
ジャンル:擬似3Dダンジョン探索型ロールプレイングゲーム
発売年:1984年
発売元:BPS
開発元:BPS
発売機種:PC-8801、X1、FM-7、MSXほか
前作:なし
後作:ザ・ファイヤークリスタル
※使用している画像は指定が無い限りPC-88版のものです

「ザ・ブラックオニキス(以後、ブラックオニキス)」は1984年にBPS(Bullet Proof Software)より発売された3Dダンジョン探索型ロールプレイングゲームで、「夢幻の心臓」「ハイドライド」「ドラゴンスレイヤー」と並び国産RPGの黎明期を支え、後の国産RPGにも影響を与えた作品のひとつである。

レガシー&レジェンズシリーズ.

ブラックオニキスは元々「ウツロの町」を中心に地下迷宮や寺院、町の外などを冒険したり、闘技場で闘ったりする、というひとつの作品の予定だったのだが、容量の都合でウツロの町にある地下迷宮を舞台とした「ザ・ブラックオニキス」、町に併設された寺院内を舞台とした「ザ・ファイヤークリスタル」、屋外を舞台にした「ザ・ムーンストーン」、そして「アリーナ」の4作品に分割された。

これら4作品は後に「レガシー&レジェンズシリーズ」と銘打たれており、別々の作品であっても同じセーブデータを流用して遊ぶことができるというのが大きな特徴だった。

また「アリーナ」では、プレイヤー同士が自分の育てたキャラクターのセーブデータを持ち寄って闘技場で戦わせることができる予定だったのだが、結局発売されたのは「ザ・ファイヤークリスタル」までであり、「ザ・ムーンストーン」は開発中の画像がパソコン雑誌の紙面に載っただけに終わっている。

レトロパソコンゲーマーの間では、未だによく「発売されなかったゲーム」や「続編を待っているゲーム」として「ザ・ムーンストーン」を挙げるものがおるのうw

ストーリー.

black_onyx05
秘密のベールに包まれた宝石「ブラックオニキス」。
ひとたび手に入れれば永遠の若さと莫大な富を得ると伝えられているそれは、
ウツロの町に行かなくては手に入れられないという。

この話を耳にしたあなたは何年も旅を続け、今ウツロの町を目前にしている。
この町に伝わる伝説によれば、
ブラックオニキスは町外れのブラックタワーのどこかに隠されているが、
そこに行くには様々な試練を乗り越え無くてはならないという。

町の中央にある廃墟の中に塔に通ずる地下道があるらしいのだが…。

画面構成と基本操作.
black_onyx13

本作の画面構成は、画面右側に擬似3Dダンジョン、左上にパーティメンバーの体力と経験値、その左下にパーティーメンバーのグラフィック、その隣に敵グラフィック、その下に敵の体力、そして画面下部にゲーム中のメッセージが表示されるという構成になっていた。

この当時のRPGは、グラフィック能力の貧弱さもあるが画面上にとにかく文字や数字が多かったのだが、本作においては基本画面に名前以外に文字や数字が表示されておらず、キャラクターの状態を含め体力や経験値についてもグラフィカルになっているのが大きな特徴であろう。

ちなみにこれに近い特徴が、同時期の「ハイドライド」にも見られていたのう。

本作では冒険の拠点となるウツロの町でも冒険対象のダンジョンであっても、同様に擬似3Dダンジョンで表現されており、そのため移動中の操作方法についても町とダンジョンで共通となっている。移動中の操作については以下の通り。

[8(5)] … 前進(扉を開けて前進)。
[6] … 右を向く。
[4] … 左を向く。
[2] … 後ろを向く。
[↑] … 階段を登る。
[↓] … 階段を降りる。
[D] … 薬の使用。
[H] … 所持金の確認。
[A] … キャラクターのロード
[T] … メッセージ表示速度の変更。
[Q] … キャラクターのセーブ。

ちなみにAはゲームの説明的には「パーティにキャラクターを追加する」なのだが、本作の仕様的にはキャラクターのロードに該当する。

キャラクターメイキング.
black_onyx02

本作をプレイするためにはまず、キャラクターメイキングにて最低限1人はキャラクターを自分で作成する必要があった。キャラクター作成はタイトル画面から「ユウシ ヲ ツクル」でキャラクターメイキング画面に移動する。そこでまずキャラクターの名前を決定し、次に髪型と服の色を選択。問題無ければセーブしてこれで完了となる。

実はキャラクターメイキングといっても、ウルティマやウィザードリィのように種族や能力値、職業などを設定できると言うわけではない。種族は存在せず、能力値はキャラクターをセーブした段階でLIFE(体力)、STR(強さ)、DEX(素早さ)がランダムに設定され、職業は固定でユウシ(勇士)となってしまうのである。ちなみに本作には勇士以外の職業は無い。

他のRPGのように能力や職業などの選択の自由がない本作のキャラクターメイキングではあるが、現在キャラクターメイキングが可能なRPGではほとんど標準装備されているキャラクターの容姿設定をこの時代に既に実装していたのはかなり斬新であり、当時同様の機能を持つ作品はほぼ無かったと言っても良い革新的な機能であった。

ランダムで設定される能力値の振り幅が大きいもんで、それなりのキャラクターを作るのにも割と苦労したもんじゃよ。能力値が低いと後々苦労するしのう…

拠点「ウツロの町」.
black_onyx16

キャラクターを全員分作り終えたら、今度はタイトル画面から「ウツロノマチへイク」を選び、冒険に連れて行くキャラクターの名前を入力して1〜5人のパーティを編成する。これでいよいよブラックオニキスを目指す長い冒険の始まりとなり、最初は拠点となる「ウツロの町」からスタートする。

このウツロの町はRPGの町としてはかなり広く作られており、そして様々な施設が設置されている。施設として一番重要なのは病院と商店で、病院ではLIFEの回復、能力値の確認、薬の購入が可能で、商店には武器屋、鎧屋、盾屋、兜屋などが存在する。また冒険の中心となるダンジョンへの入り口(墓場、井戸、立ち入り禁止区域)なども、町中に存在する重要な場所だ。

それ以外にも様々な施設はあるが、意味はなかったり使用出来なかったりするものが殆どで、他に使用できるものといえば銀行くらいであろう。ただ意味がないとか使用できないというのは、あくまで本作においてのみの話という事もある。というのもこのウツロの町は、本作の拠点であるだけでなく、前述したレガシー&レジェンズシリーズにおける拠点でもあるからだ。

例えば「TEMPLE」「GATE」「ARENA」と書かれた扉には本作では入ることが出来ないが、これらは次回作以降の「ザ・ファイヤークリスタル」「ザ・ムーンストーン」「アリーナ」に繋がる扉なのである。また本作では潰れてしまっていた服屋が、次回作では床屋として髪型が変えられるようになっていたり、意味の無かった刑務所が市役所に改装されて名前の変更ができるようになったりしている。

このように同じウツロの町が次回作でも拠点として利用されており、恐らくその後の作品でも同様に利用しようとしていたのであろう。

エンカウント!敵か味方か?.
black_onyx14

さて、作成したキャラクターでウツロの町やダンジョンを歩いていると、突然画面下に「ナニカ チカヅイテキタ!」のメッセージが表示されて文字通りプレイヤーは何かと遭遇(エンカウント)する。 すると画面の中央あたり、パーティの右側に遭遇した相手が登場した数だけ表示され、その下には登場した相手の名前とLIFEの棒グラフが表示される。

遭遇する相手には友好的なNPC、敵対的なNPC、そしてモンスターの3パターンがある。相手がNPCの場合は最大でも5人までしか登場しないが、モンスターは20体ほど登場することもあり、その場合相手の棒グラフは先頭の5体分のみ表示された。

遭遇した相手に実行できるコマンドは、以下の3つ。
[A] … 戦う。
[R] … 逃走。
[T] … 話す。

戦うを選ぶと戦闘が開始され、逃走を選ぶと確実ではないが逃げ出すことが可能である。話すは友好的なNPCにしか効果はなく、それ以外が相手だと問答無用で攻撃されるか逃げられてしまう。ちなみに友好的な敵対的なとは言っているが、説明があるわけでは無くはっきり見分ける方法はない(あることで判断できなくも無いのだが…)。

友好的なNPCと会話が成り立った場合、以下の会話が可能になる。
[J] … 仲間に誘う。
[G] … 挨拶して別れる。
[Y] … 脅して金を奪う。

仲間に誘うとパーティに編入させることが出来るがこれについては後述する。挨拶して別れるのはそのまま。脅して金を奪うのはお金を得られるらしいが、大抵失敗して逃げられる。

もし誤って友好的なNPCを攻撃してしまっても、特にデメリットは無いんじゃよな。ただし正確に言うなら、本作においてのデメリットは無い、じゃがの

戦闘の流れについて.
black_onyx15

さて戦闘が開始された場合だが、その戦闘の流れは以下の通り(説明の都合上、エンカウント時からの流れになる)。

① 話す、戦う、逃げるのどれかを選ぶ。
② 会話の成立、又は敵味方が逃走すると戦闘終了。
③ キャラクターの並び(上から)順に攻撃する相手を番号(1〜5)で指定する。
④ 全員指定が終わった後、敵味方関係なくDEX順に攻撃が実行される。
⑤ 攻撃を受けたものは、LIFEの棒グラフの青が右から赤くなっていく。
⑥ 全て赤くなったものは死亡、排除される。
⑦ 全員の攻撃が完了で1ターン終了。
⑧ 敵味方どちらかが全滅したら戦闘終了。
⑨ 全滅してないなら再び①から繰り返えす。

本作において戦闘コマンドと呼べるようなものは、攻撃する相手を選ぶことだけであり、他のRPGのように防御や特殊能力、アイテムや魔法の使用といったものは存在しない。一応アイテムとしてはLIFEを回復できる「薬」が存在するのだが、戦闘中に使用する事は出来ない。もちろん魔法も存在しないので回復魔法もない。ひたすら殴り合うしかないシンプルな戦闘となっている。

ただ逆にモンスターも特殊行動や状態異常攻撃、魔法攻撃をしてくる事はないので、戦闘の厄介さは少ないだろう(あるモンスターだけ例外)。そもそも本作には「状態」というステータスが無いので、毒や麻痺、石化などにかかる事はなく、キャラクターが死亡した場合はその場でパーティから居なくなるので蘇生する事ももできないのである。

ちなみに死亡したキャラクターは即ロストという訳ではなく、前回セーブしたところに戻ればロードしてまた仲間に戻すことができる。

このように非常にシンプルな本作の戦闘シーンでだが、特筆すべきは登場する十体以上のモンスターが登場した数だけ数字でではなく絵でちゃんと画面に表示され、さらに倒すとちゃんと一体ずつ消えていくという、当時のRPGではかなり珍しい非常にグラフィカルな要素を持っていた事だろう。

ゴールドと経験値とお宝.
black_onyx17
一般的なRPGにおいては戦闘が終了すると経験値とゴールド、時には宝箱などが入手できるものだが、本作においてはどうなのだろうか。

まず経験値については敵を倒した分取得できるのだが、実は倒さなくてもダメージを与えさえすれば途中で逃げられても経験値は取得できている。ただし画面上に数値として得られた経験値が表示されないので、どういう計算で取得経験値が決まっているのかは正直わからない。

次にゴールドについてだが、こちらは戦闘後に必ず貰える訳ではなく条件が決められていた。

その条件とは、固定エンカウントでかつゴールドを持っている設定の敵との戦闘に勝った場合(逃げられてもOK)のみとなっている。固定エンカウントとは決まった場所に行くと必ず発生するエンカウントであり、ゴールドを持っている設定の敵とは例で言えば、GoblinやAztec等は持っているが、WolfやZombie等は持っていないというように種類で決まっている。

なのでゴールドを稼ぐにはダンジョン内の固定エンカウントの場所を回るのが一番早い。ただし固定エンカウントの敵は一度倒すとゲーム中には復活しないので、一度タイトル画面に戻るか、ゲームをリセットする必要がある。ちなみに経験値もゴールドも、取得した分をパーティのメンバーで分配する方式である。

それと本作ではダンジョン内で宝箱を見つけるというような事はないのだが、戦闘終了時に稀に「スバラシイ ○○(装備名)」という装備を見つけることがある(機種によっては「マホウノ○○」)。これは同じ名前の店売りのものより強いらしいので、身につけているものより強いか同じものであれば、身につけてしまっても問題ない。

またある特定のモンスターだけが落とす特別な装備も存在した。

レベルアップと能力値の上昇.
black_onyx18
戦闘で取得できる経験値の話が出たので、今度は本作のレベルアップについて話そう。

戦闘で経験値を得ると、それに応じて各キャラクターのLIFEグラフの下にある水色の線が伸びる。この線が右に10目盛伸びるとその場でキャラクターのレベルが1上がり、同時に能力値であるLIFE、STR、DEXも上昇する。能力値はLIFEとDEXが最大で+8、STRのみ最大で+4上昇する(能力値が下がることはない)。

どの能力値がどれだけ上昇するかはランダムで決定されるため、上昇値が不満であればゲームをセーブせずにリセットすればまたレベルアップさせることが可能なのだが、何がいくら上昇したのかはウツロの町にある病院で診察してもらわないとわからない(有料)。そのため、誰かがレベルアップしたら一旦町まで戻って診察を行い、ダメだったらリセットでセーブ前からやり直すという非常に手間な作業が必要になる。

本作は武器防具の種類がそれ程多くは無く、ゲーム中盤あたりで店売りの最強装備は揃えられてしまう。従って中盤以降もどんどん強くなるモンスターに対抗するには、キャラクターをレベルアップさせて能力値を上げる事、そして能力値の初期値含め、ここまでどれだけ能力を多く上げられて来たのかが非常に重要となる。だから手間ではあっても、能力値はしっかり上げておく方が良い。

まあぶっちゃけてしまうと本作には”アレ”がおらんので、能力値が低くてもセーブロードを繰り返せばゲームをクリアする事事態は可能だったりするんじゃがな

モブから主人公に?.
black_onyx19
さて、自分でキャラクターを作ってはみたが能力値の初期値が低かったり、レベルアップでの能力値の上昇がイマイチで戦闘がキツくなってきたと思うこともあるだろう。本作ではパーティメンバーの入れ替えは自由なので、新たに初期値の高いキャラクターを一から作ってみるのもありなのだが、実はもう一つ方法がある。

それが前述したダンジョンで出会う友好的なNPCを仲間にする方法だ。

ダンジョンで出会うNPCの中には、キャラクターメイキングではなかなか作れない能力値を持つ者がいるので、彼らを仲間にすることができれば強力な味方になってくれるだろう。ウツロの町にも友好的なNPCは現れるが、能力値は低めなので探すならダンジョン内の方が良い。ダンジョン内であれば非常に稀だが、バーバリアンと呼ばれる能力値の高めなNPCに出会うこともあるのだ。

ただしあくまで”高め”というだけなんで、見つけたら絶対強いのかというとそうでもないというのには注意じゃな。

ちなみにNPCを仲間に入れるには一つ条件があり、仲間にするNPCの人数分パーティに空きが無ければいけない。NPCに遭遇してからパーティに空きを作る事は不可能であるため、NPCを探したいならば、ダンジョンに入る前に空きを用意しておく必要があるのだ。ただそれはパーティの戦力を下げる事を意味するので、弱いうちからはお勧めできない。

こうして強いNPCをパーティに加えていくことで、全員が元NPCになってしまうというのは本作のあるある話だが、「ONYXメザシテ ガンバリマショウ!」くらいしか言えないモブが一転して物語の主人公になってしまうというのは、考えてみると他に類を見ない本作の面白い部分でもあるだろう。

最大にして唯一の謎.
black_onyx20
さて本作にはストーリー進行やイベントは無く、雑にいってしまえばただひたすらにレベルと装備を整えてブラックオニキスを取りにいくのがゲームの全てなのだが、そんな本作の中にも1つだけ絶対とかなければいけない「謎」があった。それが「イロ イッカイズツ…」というヒントで有名な「カラー迷路」の謎だ。

カラー迷路は地下迷宮の地下六階にある複数のブロックからなる迷路のことであり、その名の通りダンジョンの壁面がブロック毎に、白、マゼンダといった様々なカラー一色で塗られている。ブロックとブロックは扉で繋がっており、別のブロックに移動すると壁の色が変わるようになっている。

言ってしまうと「イロ イッカイズツ…」のヒントにあるように、この各カラーのブロックをある順番で1回ずつ通るように移動していき、最後にある扉から出ると迷路を脱出して最後の舞台であるブラックタワーに行けるようになるのだが、正直この「ある順番」というのが最大の謎だったのである。

というのもこの順番のヒントがゲーム中に一切無く、しかも順番は発売されていた機種によって違っていたのだ。従って誰かが順番を解明したとして、その順番を誰かに教えたとしても聞いた人が教えた人と別の機種で本作を遊んでいたら、その順番は全くのデマカセになる可能性が大きいということになる。

本作のこの謎は多くのプレイヤーを悩ませたと同時に「カラーコード」という存在をこれで知った人も少なくは無いだろう(ネタバレ)。ちなみに本作のPC-88版は、PC-8801版とPC-8801mk2SR版の2種類が発売されており、なんとご丁寧なことにこの2種類でも色の順番が違っていた。

発売する機種ごとに謎の解き方を変えるというのは、同時期の「ハイドライド」でもやっておったのう

最後に.

では最後に、本作の良い所と残念なところについてまとめてみる。

black_onyx21
まずグラフィックの点につていだが、ここまでで何度も伝えているように本作はグラフィック面に力を入れていたように思う。それは体力や経験値を数字ではなくグラフで表示して直感的に見易くしていたり、キャラクターメイキングでの髪型や服装の選択機能、出てきたモンスターを出てきた数だけ愚直に表示させて臨場感を煽る、さらには武器や防具を変えるとキャラクターの見た目も変わるなどの機能でよく解る。これらは本作の非常に良い点だ。

しかしグラフィカルな表現を重視するのはよいが、一方でゲームをプレイする側としては「数字」での表現ももっと重視して欲しかったと思う。例えば経験値でいうと今いくつあって、この敵はどのくらい経験値をくれて、あといくつでレベルが上がるというものは数字で欲しい情報だ。しかし本作にはそういった機能が無い。同様に武器や防具の見た目が変わるのは良いが、実際に数値としてどれだけ強くなったのかが本作では全く確認できないのだ。これは残念な点である。

また本作は全体的にシンプルに徹しているため、当時まだ日本ではRPGがそこまで広く認知されていなかった時代であっても、誰でも手を出しやすいゲームになっていたと思う。一方でキャラクターの選別や高性能なNPC探し、レベルアップのやり直しなどを繰り返して徹底的に強いキャラクターを作るという「やりこみ要素」も持っていた。つまり見た目も含めて入り込みやすく深みもある、そういった点が本作がヒットした理由だったのだろうと思う。

しかしシステムがシンプルすぎるのも問題で、特に回復手段が貧弱なのが後半かなり辛い。回復手段が薬のみで、しかも戦闘中には使用できない。さらに薬は一度に1人5個までしか持てず、そのうえ使ってもLIFEが10程度しか回復しない。中盤以降装備が整うととにかくゴールドが余るのだから、一本1000ゴールドでもいいから全回復できる薬も売ってほしかったと思う。そこが残念だ。

そして最後に、これは残念というかどうしようもない部分ではあるのだが、当時ゲームの(というかパソコンの)記憶媒体というのは完全にフロッピーディスクには移行できておらず、カセットテープが記憶媒体という状況の機種もまだまだ存在した。カセットテープはゲームの起動からしてかなりの時間を要し、さらにデータのセーブ/ロードには時間も手間もかかった。何度もセーブ/ロード、そして再起動を必要とする本作とは相性が非常に悪かったのだ。

実は私が始めてこの作品に触れたのは友人から本体ごと借りたMSX版だった。MSX版はゲームそのものはロムカセットだったのだがデータの保存にはカセットテープが必要で、データを保存したり読み込んだりするたびに、テープレコーダーを操作して頭出しして再生して巻き戻してと何度も繰り返すのが苦痛で途中で投げ出してしまった記憶がある。もし時代がもっとはやくフロッピーに移行で来ていたら、この作品の評価はさらに上がったのかもしれないとも思う。

black_onyx11
本作は今触れてみると粗が見えてしまう作品ではあるが、まだ当時は日本のRPG黎明期であったことを考えると、遊びやすく難易度も(カラー迷路を除けは)そこそこで非常によく出来た作品であるというのは間違いない。RPGの歴史を実感するためにも、遊んだ事が無い人には是非一度触れてみて欲しい作品だ。残念なのは現在では遊べる環境が用意しにくいということだろう。昨今のクラッシックゲームブームに乗って、次回作とあわせて発売して欲しいものだと切に思う。

関連商品.





↓ブログランキングに参加してます。クリックして頂くと私の「やる気」がアップします。
にほんブログ村 ゲームブログ レトロゲームへ