ultima3_01


発売年:1983年、1985年、1989年
発売元:オリジン、スタークラフト、ポニーキャニオン
ジャンル:フィールド探索型RPG
発売機種:Apple][、PC-88、PC-98、FM-7、MSX2
※画像は個別に指定が無い限りPC-88(ポニーキャニオン)版のものです
0222

今回は「ウルティマIII EXODUS (後編)」です。
前編、中編にまだ行っていない方は以下のリンクよりどうぞ。



「ウルティマIII」での魔法の確立

ultima3_20

本作の魔法についてだが、ウルティマⅡまで作中に魔法は存在していたものの実は「消費アイテム」扱いであり、使用してもMPの消費もなく(そもそもMPがステータスに無い)、アイテムのストックが減るだけというものだった。また魔法の種類も全部で10個程で、プレイヤーの職業によってそのアイテムが使えるかどうかが変わるという仕様になっていた。
それが本作では進化してちゃんと「魔法」という独立した地位を獲得している。

本作の魔法はクレリック魔法とウィザード魔法の二つに分類されており、キャラクターの職業によって使える魔法が違う(どちらも使えない職業もあれば、どちらも使える職業もある)。種類も前作から一気に増えて、クレリックとウィザードそれぞれに16種類で計32種類もの魔法が用意されていた(ただし効果が同じものも何個か存在する)。また本作からは使用すれば一定のMPを消費するようになり、ここで後の一般的的なMP消費型魔法システムが確立されてきたように思える。
ちなみにこの頃の「ウィザードリィ」の魔法は魔法レベル毎の回数制だった。

本作の魔法には様々な効果のものが存在するが、中でも特筆すべきなものはクレリック魔法の「Pontri」とウィザード魔法の「Repond」だろう。この二つは戦闘フィールド上の全ての敵を即死させる効果があり、その対象はPontriはスケルトン系、Repondはオーク系のモンスターと限定されるが、なんと消費MPが0でさらに倒した敵の経験値もちゃんと全部入るという美味しい魔法だった。ただし戦闘中一回しか使用できないこと、敵一体毎に抵抗判定があり抵抗に成功した敵にはノーダメージという仕様になっている。

しかしそれでも全ての敵を消費MP0で即死させられるのはとてつもなく便利な魔法であり、特に飛び道具も使えず、MPが低いうちは攻撃魔法が使えないクレリックのレベル上げはこれなくして語れないだろう。さらに消費MPが0なので、パラディンやラークなどの魔法が使える戦闘職も最初から使用できるのである。スタート地点から近いペリニアン・デプスの浅い階にはオーク系かスケルトン系しか現れないため、魔法が使える職業ならこの二つの魔法のお陰でスピーディなレベル上げが可能になっている(これが前回書いたダンジョンが美味しい理由の一つでもある)。

「ウルティマIII」での悪事

ultima3_21

前回、移動手段である「馬」を無料で手に入れられる「ある方法」があると書いたが、それはズバリ「盗む」事である。馬を売っている町で、馬屋の店の裏側にまわり、鍵のかかった扉を開けると店の中に入ることができる。そしてそこに放されている馬に重なって「B(board)」コマンドを実行すると、なんと店の馬をお金も払わずに自分のものにできてしまうのだ。
また同様に、店にある宝箱も盗むことができる。こちらは店のカウンターに向かって「S(steal chest)」コマンドを実行する事で行えるが、実行するキャラクターにシーフのような「盗み」能力が無いと(あっても確率によって)失敗する。

盗みに失敗したり盗む現場を店員に見られたりすると、衛兵を呼ばれ、街中で多数の衛兵から追いかけられる事になる。衛兵に捕まると戦闘になるのだが、衛兵は尋常じゃなく強いため強力な全体魔法が使えるくらいでないとまず勝ち目は無い。ちなみに本作では街中のNPCに対して(王様に対してでも)戦闘を仕掛けることもできる。NPCに勝てば経験値や宝箱を手に入れる事もできるが、その場合もやはり衛兵を呼ばれボコボコにされる。
※王様は「不死」設定されているので絶対勝てない

ウルティマという作品は、シリーズを通してこのように物を盗んだりNPCを攻撃出来たりするシステムが存在し、それを利用した稼ぎなども可能だったりするのだが、我々の感覚からすると「世界を救う主人公が悪事を働く」という事にやや抵抗を感じてしまいそうになる。しかし我々は勝手に人の家に入り込んでタンスや壺を漁ったり、城の中の鍵の掛かった部屋にある宝箱を当然のように自分のものにしてしまう「勇者」を知っている。もしかしたら、あの勇者に許された蛮行はこういったシステムがマイルドになって受け継がれた結果なのかも知れない。

「ウルティマIII」の情報と謎

ultima3_18

さて本作ではプレイヤーに対し「エクソダスの調査」という使命が与えられているのだが、具体的にまず何をどうしろという指標が使命を与えてきた王様から全く与えられない。なのでそこは自分で考えて動くしか無いのだが、そうなると必要なのは情報である。主な情報は城や町の様々なNPCに話しかけることで得られるが、さらには酒場のマスターに1〜99ゴールドを払う事でも情報が得られる。比較的酒場の情報は冒険のキーになる情報が多く、あまり最近は見かけないがやはりRPGの情報収集は酒場が基本だったなと思い出してしまう。

また王がいるロードブリティッシュ城には「オラクル(神託所)」があり、ここでもゴールドを支払って情報を入手することが可能である。オラクルへ支払う金額は100〜900ゴールドと酒場とは桁違いな額になるのだが、その分ゲームをクリアするのに必要なかなり具体的な指針を得ることができる。しかしとはいえ酒場とオラクルだけでは謎を解き明かすピースは埋まらないので、やはりいろんな町のNPCからの情報収集も疎かにはできない。

本作において解くべき「謎」として、恐らく最初に関わってくるのは「四つの印」についてではないだろうか。これは今では定番ではあるが、この世界のどこかにある四つの「印」を探して集めるというものである。特にこの印のうち一つ「王の印」は持っていないとまともにレベル上げができないので、他の印や謎を解明するためにも最優先で探し出す必要があるだろう。そして残りの三つの印のありか、前にも触れたパラメータを上げられる神殿のあるアンブロシアへの行き方、謎の4種類のカードとその使い方、この世界の「もう1人の王」の存在、そしてエクソダスの正体とは。などなど、本作にはプレイヤーが解くべき謎は多く用意されており、挑み甲斐のあるものになっていた。

「ウルティマIII」のまとめ

ultima3_19

最後にまとめとしてだが、本作はパーティ制フィールド探索型RPGの基礎を築いた作品として、後の作品に多くの影響を与えていると言えるだろう。特に翌年に発売されたクリスタルソフトの夢幻の心臓Ⅱは和製ウルティマⅢ?と思えるほど影響を受けたのではと思われる箇所が多くある。一方でウルティマⅢもまだまだRPG初期の作品、逆に後の作品には継承されなかったような要素も存在するわけで、ウルティマⅢを見ながらその後のRPGの進化を見直してみるのも非常に面白いと思う。

後年のRPGとウルティマⅢ(というよりこの当時のRPG全般)を見比べた時に、グラフィック以外で非常に気になるのは「ストーリー性の無さ」である。もちろんゲームの前置きとなるストーリーとエンディングの物語はあるのだが、その間を繋ぐストーリーというのもが殆ど存在しない。そのため現代のRPGに慣れてしまったプレイヤーにとっては、このウルティマⅢなどは、遊んでいても盛り上がりにかける作品のように感じるかもしれない。

確かにウルティマⅢのストーリー性は低いのだが、その代わりに本来のRPGとして重要なものが存在いている。それは自由度の高さだ。プレイヤーが操るキャラクターはどんな人間(種族)なのかどんなパーティメンバーなのか、細かいところはストーリーに用意されていない。だからこそ、どんな種族、どんな職業でパーティを組んでもなんの支障もない。途中にストーリー的イベントらしきものも無いので、最初から何処へ向かって何をしてもいいし、伝説の武器防具だってゲームを始めて割と早いタイミングで手に入れることだってできるのだ。

ストーリーが作品内に大きく関わってくると、必然的にプレイヤーの行動に制限が生まれてしまうものだが本作にはプレイヤーの行動を縛るものが殆ど無い。レベルを上げつつ少しずつ世界を冒険し情報を集めていくこともできるし、なんなら最初に近場でレベル最大まで上げてからそこから探索の旅に出たっていい。本作にはゲームを潤滑にクリアするための「セオリー」はあったとしても、ゲームをクリアするための道順に「正解」 は無いのである。

また本作における自由度の高さを良く表してると思うのは「悪事」の存在についてであろう。本作では店から物を盗んだり、NPCを攻撃できたりという「悪事」を働くことができる。ここで重要なのが、この悪事は「やってもいいし、やらなくてもいい」ということだ。本作には盗まないと手に入れられない物とか、NPCを攻撃しないとストーリーが進まないというようなことが無いので、システムとして悪事は可能ではあるが、それを「やる」or「やらない」の判断が完全にプレイヤーに任せられるのである。 大したこと無いように聞こえるかもしれないが、こういうことがゲームにおける「自由度」なのだと思う。

表示される選択肢のうち「はい」を選べないと進めないというような事はなく、それどころか行動を決める選択肢すら存在しない。プレイヤーの行動ひとつひとつこそが「選択」であり、その結果がこの作品の「ストーリー」になるのである。これこそ本当のロールプレイングゲームの形ではないだろうか。昨今では「はい」しか選べない作品はなくなってきたものの、主人公も決められていて、ストーリーの道筋も決まっているRPGはやはり多い。それを悪いとは思わないが、本当のプレイヤー自身が主人公であるロールプレイングゲームというものももっと味わってみたい気持ちが、この作品を通して湧いてきたのは確かである。

door05EXIT
blog_kanrinin
どうじゃったかのう?
まとめで言いたいことは言ってしまったので、最後の話は短めにしておくぞいw

今回この作品を解説していくにあたってちょっと思い出したRPGがあったのじゃが、それは「The Elder Scrolls V: Skyrim」、そうスカイリムじゃな。
あのゲームも主人公があくまで「プレイヤー」であり物語上用意された人物ではない。またメインストーリーは存在しているが、ゲームをプレイするにあたってそれに縛られることが少なく、自由な行動でゲーム進行が可能。作品の中に盗みやNPCを攻撃できる要素はあるが、必ずしもそれが必須の行動ではなく、また見つかった場合にペナルティが存在する。
そういうゲームじゃった。

「スカイリム」はわしも本当に嵌ったRPGだっただけに、「ウルティマIII」が受け継がれ、進化していった結果がスカイリムになったと思うと非常に感慨深いものがあったわい。

皆はこの作品どう思ったかのう?ではまた次回じゃ!




↓ブログランキングに参加してます。クリックして頂くと私の「やる気」がアップします。
にほんブログ村 ゲームブログ レトロゲームへ